「羽川翼という私の物語を、しかし私は語ることができない。というのも、私にとって私とはどこまでが私なのかを、まずもって定義できないからだ。ふと伸ばした足の爪先までが自分であるとはとても思えないーと記した文豪がいたはずだが、私だったら足を延ばすまでもない。心そのものが自分のものであるのか疑わしい。」
「私とはー私なのか?私以外にも私がいてもーそれは私で。そもそも羽川翼という名前がすでに不安定だ。私は幾度か名字が変わっている。だから名前なんてただの記号だと、そう思ってきた。私が今の今まで自分と向き合ってこられなかった理由は、私が私の名前を自分のものとしてー自分を表すものとして、認識していなかったからなのだろう。」
「もっとも阿良々木くんは、こんなことでいちいち悩んだり、立ち止まったりしないんだろうな。私はー自分が恥ずかしい。」
「彼に自覚はないのかもしれない。ーでも周りからみれば、火をみるより明らかで。自覚するまでもなくー自信をもって阿良々木暦は阿良々木暦で。どんな時でも、人間でなくなってしまおうと、彼はいつでも彼自身の物語を語ることができるのだろう。」
『化物語』花川翼の言葉です。
女性は1日平均3回、男性は1日平均6回嘘をつくと言われています。
嘘が全て悪いわけではなく、相手を傷つけない為の嘘等、大人として生活をしていくのであれば、必要な嘘も多々あります。
人は嘘をつく生き物であり、その嘘により社会は成り立っている部分も多分にある為、他人につく嘘は致命的なものを除けば、ある程度仕方がありません。
でも、自分につく嘘はやめましょう。
自分に嘘をつき続けると、メンタルを病んでしまうか、その嘘を本当の事であると思い込んでしまいます。
仕事や学校等で、本当の自分とは全く異なるキャラクターを演じた経験は、誰もがあるのではないでしょうか。
一時的であれば良いのですが、その状態が長く続くと、あなた自身の心は疲弊し、取返しのつかない行動を取ってしまう事になるかもしれません。
周囲の人達は、あなたの事をそこまで考えていません。
あなたが演じたキャラクターを記号のように認識し、そのキャラクターを演じるように、無意識化で要求してきます。
俳優や芸人等の自殺が続く理由の1つに、上記の理由が挙げられると思われます。
研究によっても、相手に合わせコロコロと態度を変える人よりも「私は、こういう人間だ。」と主張をしていく人の方が、人生の幸福度が高く、金持ちにもなるという結果が出ています。
このように、自分に嘘をつく事は、仕事でもプライベートでも、あらゆる場面で損をします。
では、どのようにしたら自分に嘘をつかないで済む環境を作り、自分に正直に生きていけるのでしょうか。
その方法は「良い人間関係を築く事」「自分に自信を持つ事」の2点です。
ありのままのあなたを認めてサポートしてくれる人が1人でもいれば、たとえ目の前にいる相手に嫌われても、どうって事はありません。
そうする事で、あなたは相手に合わせて嘘をつく必要がなくなります。
また、自分に自信を持つ事が出来れば、良い所も悪い所も全部含めて自分であると認識を持つ事が出来ます。
このように、自分の存在を肯定出来る人は、わざわざ自分を大きく見せる為の嘘をつく必要はなく、自分を偽らずにいられます。
誰もが、大切な存在を失った経験があると思います。
その喪失感は、他者には計り知れません。
もしかしたら、自分の命を失う事が頭を過ぎるかもしれません。
しかし、大切な存在が是が非でも生きたかった1日を、あなたは生きる事が出来るのです。
大切な存在が生きたかった今日を懸命に生きる事が、大切な存在に対する1番の弔いになると私は信じています。