毛嫌いされている脂肪ですが、人類史を振り返ると、ヒトを助けてきたことを窺い知ることが出来ます。
飢餓に苦しめられた時、生き延びることが出来たのは、身体に蓄えた脂肪のおけげであり、脂肪はヒトが運ぶことが出来る食糧庫であると捉えることも出来ます。
その為か、ヒトの体脂肪率は、他の動物と比較し、高く設定されています。
ヒトの男性の場合20%以下、女性の場合30%以下であれば、肥満ではないと設定されています。
これに対し、チンパンジーの体脂肪率は8%、ゴリラは15%、オラウータンは16%、太っている代名詞とも比喩されるブタも16%です。
このようなデータを見ると、ヒトの体脂肪率の高さが際立ちます。
脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。
内臓脂肪が多くあることがヒトの特徴です。
ホッキョククマやアザラシ等、寒い地域で暮らす動物の体脂肪率は50%程で高い傾向にありますが、そのほとんどが皮下脂肪です。
内臓脂肪は、素早くエネルギーに変換させることが出来るという利点があります。
ヒトの1日のエネルギー必要量は2,500キロカロリーであり、チンパンジーは2,100カロリーです。
これは、チンパンジーの3倍程の脳を持つことによる違いです。
ヒトの脳は体重の2%しか占めていないのにも関わらず、20%のエネルギーを消費します。この莫大なエネルギー消費を補う為に、ヒトは内臓脂肪を貯めていくという進化を遂げてきたと推測することが出来ます。
人類がアフリカから世界各地に巡った過程をグレートジャーニーと呼びます。
グレートジャーニーにより世界各地に拡散したヒトは、それぞれの地域で独自の生き方を確立してきたことが、私達の国の始まりです。
そのグレートジャーニーの中で最も困難な旅と言われているのが、ハワイやサモア、トンガ等の太平洋の島に行く旅です。
ネットも地図もコンパスもない時代に、大陸から太平洋に浮かぶ島に辿り着くことが困難を極めることは、想像に難くありません。
ハワイやサモア、トンガ等に現在住んでいるヒトは、肥満が多いというデータがあります。
サモアに至っては、国民の90%以上が肥満であるというデータが示されています。
このことからも、過酷な船旅を乗り切る為に、脂肪が役立ったことを理解することが出来ます。
過酷な船旅に耐えることが出来たヒトは、脂肪を多く蓄えたヒトであり、その遺伝子が現代にまで引き継がれていると考えることが出来ます。
その過酷な船旅の中で、脂肪が少ないヒトは生き残ることが出来なかったと推測することが出来ます。
このように脂肪はヒトが進化する上で欠かせない相棒でもあるということを人類史を振り返ることで証明することが出来ます。
もちろん、脂肪を蓄え過ぎると生活習慣病となり、疾患になる可能性を各段に上げてしまう為、程々の脂肪との付き合い方が適切であることを最後に付け加えておきます。