「どうだった?」
「面白いとは、思わなかったです。けど、感心する部分は、たくさんありました。もちろん、クオリティ高いし、キャッチーだし。メジャー作品って感じでした。」
「なんだかね、最近ずっと気になってたんだけど、メジャーとかマイナーとかアングラだとか、それってみんな言うんだけど、分ける必要があるものなの?」
「…俺は、みんな言いたいだけだと思います。わかってるふうになるので。」
‥自分にも正直なのね…。いや素直というか。‥
「あ、あとよく考えるんですけど、自分が理解できないものを否定するのって逃げだと思うんです。恐怖からの防衛本能かもしれないですけど。」
「…?うん。」
「なのに、それさっき自分でやってたなって。」
「あ…。」
「理解できないから、どうでもいいとか。恋愛映画ってくくって否定している時点で、死ぬほどダサいなって思いました。」
『海が走るエンドロール』うみ子さんと海君の会話です。
先日『ONEPIECE FILM RED』を観に行きました。
正直『Z』以外のONEPIECE映画にはがっかりしていた部分が大きい為、観なくてもいいかと思っていましたが、公開26日で興行収入120億円突破し『呪術廻戦0』の最終興行収入に迫る勢いであるという話を聞き、漫画やアニメを愛する者として、王者の作品を観なくてはいけないと思い、映画館に足を運びました。
私は映画の主題歌『新時代』を聴いた時に「これはONEPIECE以外の漫画が描く新時代の事を言っているのかな。」と感じました。
JUMPで連載開始し25年、私も小学生の頃から『ONEPIECE』を読み続けています。
2010年頃までは間違いなく『ONEPIECE』が質・量ともに最強の作品であったと思います。
しかし、10年代に入り『進撃の巨人』『ハイキュー』『呪術廻戦』等、量では『ONEPIECE』には叶わないものの、質では『ONEPIECE』を上回る作品が出てきました。
事実、私は最近『ONEPIECE』の単行本は買っていませんし、JUMPも長きに渡り最初に読む作品は『ONEPIECE』ではありません。
映画においても、能力が便利という理由だけでローやロメオ、ブリュレ等を多用していたり、シャンクスの作画に疑問を感じたり、意識と無意識という『ONEPIECE』らしからぬ世界観に疑問を感じたり等、どうも斜に構えて観てしまう場面が多くなってしまいますが、こちらが斜に構えるという事はその作品が本物である証なのかもしれません。
『ONEPIECE』という王者がいるからこそ、様々な魅力的な作品が生まれてきた事は間違いありません。
今回の映画には主要なキャラクターに俳優等の起用がなかった事、チャルロス兄さまの登場、シャンクスがカタクリと名前で呼んでいた事等、作品のファンにとっては嬉しい出来事も複数ありました。
また『ONEPIECE』らしくないと捉えられるしれませんが、意識と無意識の世界という昨今の映画や漫画、アニメ等の旬な部分に挑戦している事は素晴らしいと感じます。
映画の魅力とは、観終わった後に、様々な思考を自分の脳内で繰り広げ、これにより自分の価値観を拡げる事です。
王者の映画を観て、改めて映画の魅力を感じる事が出来ました。