自分で考えないことだけが不正解

 世の中には、あまり考えない、考えることを放棄しているような人達から、お金を巻き上げて儲けるサービスがたくさんあります。

 銀行のローンやクレジットカードのリボ払い、ブランド品、競馬やパチンコ、宝くじ、不動産等、誰もが接したことのある業界や会社も、あまり考えない人達から、お金を巻き上げて商売をしています。

 その中でも、私が特に悪質だと感じているのが民間の保険です。

 日本人は、保険が大好きで、80%以上の人が保険に加入しています。その影響か、大人になったら保険に加入すべきという謎の信仰を持っている人が多く存在します。

 医療保険や生命保険も、あまり考えない、考えることを放棄している人のおかげで成り立っています。その証拠に、自らが加入している保険を説明できる人は、ほとんどいません。

 保険料は、その全額がいざという時に支払われる保険料に使われるわけではありません。

 一等地にある保険会社のビルの賃貸料、年収800万円以上の高所得の保険会社の正社員の人件費、テレビ等への莫大な広告費、街中にある保険代理店への紹介料等が、価格に上乗せされています。

 私自身も、自社で入っている保険会社のCMが流れる度に、イラっとしてしまいます。

 多くの人は、払った金額以上の金銭を受け取ることが出来ない、損するサービスが保険です。

 2019年に生命保険協会が行った統計では、保険料収入が35兆円であったのに対し、保険金支払いは28兆円でした。

 これだけでも、保険会社は7兆円支払わずに利益を生んでいることが理解出来る上に、生命保険等は亡くなった場合に数千万円等の契約が多いことから、実際に支払われている人の割合は、上記の数字で読み取れる以上に少ないことが推測出来ます。

 このようなことを主張すると「いざという時に、不安で。」等と主張する人がいます。

 しかし、健康保険に加入していれば、大病や大怪我をしても、高額療養費制度が使えます。

 これを利用すれば、年収が370万円以下であれば、1カ月の自己負担限度額は、56,700円です。年収が500万円程度の人でも、10万円以下であり、残りは国が負担してくれます。

 国民年金や厚生年金に入っていれば、高齢になってからの年金だけではなく、亡くなった時に遺族に支払われる遺族年金や、障害を抱えた時に支払われる障害年金もあります。

 この他にも、休業した時に支給される傷病手当金や、失業した時に支給される失業等給付等、日本の社会保険は世界一ともいえる位の守備範囲です。

 普通に働く会社員の場合、民間の保険に入る必要はないでしょう。

 民間の保険に、1万~3万円程のお金を毎月支払うのであれば、その分を貯蓄した方が、賢明でしょう。