「その執濃さが、君を歪めたのだろうに。エンデヴァー。」
‥更に弱くなった。立場と過ちと償いと責任が、おまえの生来の弱さを暴き出し、見るに堪えない愚図へと引きずろ下した。超人にはなれないんだよ。炎司(おまえ)は。原点を思い出せ。‥
‥敵が何だったのかを。悪漢から少女を救おうとし、結果少女もろとも肉塊と化した父を。真の超人への羨望と僻みを。努力(エンデヴァー)と名乗る卑屈な性根を。誇示していなければ保てぬ程度の醜い心を。‥
‥そう。おまえはオールマイトにもデクにもなれない。炎司(おれ)は自分の弱さとしか戦ってなかったから。だから、生まれ変わろうなんて考えるな。己の弱さ(てき)を呪い続けろ。唯一それだけが、おまえを生かしてきたのだから。‥
「そうだ‥俺は‥しつこい。だから‥この先生涯‥よくやったと自分をなぐさめるような日は来ない。この戦いを終わらせるのが俺の使命だ。」
『僕のヒーローアカデミア』オール・フォー・ワンの言葉とエンデヴァーの脳内言葉とエンデヴァーの言葉です。
全ての生物に共通して存在する器官は、核と細胞膜です。
核の中に遺伝情報が詰まっており、これがDNAです。細胞の脳とも称される核の存在が大切である事は、誰もが想像出来ると思います。
私は、核と同じ位、細胞膜の存在が大切であると考えています。
細胞膜は、細胞や細胞小器官の内外を仕切る働きを持っています。
細胞膜により各器官が独立出来るからこそ、心臓は心臓の役割を果たし、肝臓は肝臓の役割を果たし、筋肉は筋肉の役割を果たす事が出来ます。
たとえば、マンションの各部屋が分かれていなかったら、マンションの部屋にトイレや浴室、寝室等に仕切りがなかったらと考えたら、ぞっとしてしまいます。
私達が平穏な日常生活を送る為には、各自が独立して生活する事が出来る仕切り、私達の身体でいう所の細胞膜の存在が不可欠です。
焼き魚を作る時、まず生魚に塩を振ります。
この振り塩は、魚に塩味をつけているだけであると思われがちですが、塩を振る本当の目的は別にあります。
魚に塩を振ると、身の表面に濃い塩水の層が出来ます。
細胞を覆う細胞膜は、塩は通しませんが、水は通す性質を持っています。
このような性質の細胞膜を、半透膜と呼びます。
塩分濃度の異なる水の間に半透膜があると、水は塩分の濃い側へ移動する性質があります。
この性質を利用する事で、魚に塩を振ると、魚から水分が抜け、身が引き締まり、美味しくなります。
さらに、魚に塩を振ると、水と一緒にくさみも抜けていくという効果もあります。
このように、私達は知らず知らずのうちに、細胞膜の性質を利用して生活をしています。
私は、怒り・悲しみ・喜び等の各感情も、細胞膜に取り込まれ、それぞれ独立した感情として成り立っているのではないかと仮説を立てています。
そのように独立した感情として保存していなければ、私達の心は日々自分の中から生まれる様々な感情により、押しつぶされてしまうのではないでしょうか。
すぐ怒る人は怒りの感情が細胞膜により保存されその数が多く、喜びを多く表現出来る人は喜びの感情が細胞膜により保存されその数が多いのではないかと考えています。
細胞膜により保存された感情に偏りがある事は問題ですが、様々な感情が細胞膜により保存されている事は、それだけ多様性がある人であると捉える事も出来ます。
エンデヴァーのように、羨望も僻みも誇示していなければ保てぬ程度の醜い心も、偏りさえなければ、自分の心の中に存在していても良い感情であると私は考えます。
己の弱さ(てき)を呪い続ける事で、前に進む事が出来る事がある事を『僕のヒーローアカデミア』は教えてくれます。
どのような感情を保存していくかは半分は遺伝により決まっていますが、残り半分はあなたの考え方と行動、習慣により変えていく事が出来ます。