自分の行動を決めている基準

 私達は、やりたくないことでも、何となくやらなければならないような気になることがあります。

 会社においては、朝礼や会議等が、それに該当するのではないでしょうか。会社の人達が、皆、朝礼や会議に参加していたら、自分だけ参加しないわけにはいかないという気持ちになります。その朝礼や会議が、生産性のないものであることを知っていたとしてもです。

 私達は、自分がやりたいかどうかという基準で思考や行動を決めているように思いますが、実際はそうではありません。

 むしろ「隣の人もやっているから。」という理由で、自分の思考や行動を決めていることが多いのです。

 被験者に見知らぬ女性と10分間の会話をさせ、会話が終了して一緒に建物を出た所で、献血スタッフが「献血をしませんか?」と声を掛ける実験が行われました。女性は、サクラです。

 最初のグループでは、スタッフは、まず女性に声を掛けます。女性は喜んで献血に応じる脚本になっています。次に、スタッフは被験者にも同様のお願いをしました。

 すると、27人中18人が献血に応じてくれました。

 次のグループでは、スタッフは女性ではなく、被験者に先に声を掛けました。

 これに対しては、8人中2人しか応じてくれませんでした。

 私達は、自分の意思ではなく、他者の言動に左右され、自らの意思を決定していることが実験から理解することが出来ます。

 さらに、この場合の他者は、親しい家族や友人ではなく、10分程実験を共にしただけの人でも良かったのです。

 私達には、他者がしていることを同じようにしてしまう傾向があります。

 何か選択をする時「これは、本当に自分が考えたことなのか?」ということを今一度考える必要があります。