薬研藤四郎

 1943年(明応2年)に起こった明応の変にて、細川政元に敗れた室町幕府官僚、畠山政長は、自身が持つ短刀、薬研藤四郎にて自害をしようとします。

 しかし、どうしても刃が腹に刺さりません。

 切腹出来ないことに腹を立てた畠山が刀を放り投げると、「薬研」という薬を調合する為の鉄製に器具に突き刺さったという逸話から、この短刀に薬研藤四郎という名が付けられました。

 鉄の薬研を貫くほどの切れ味があるのに、主人の腹を切ることは出来ない刀として薬研藤四郎は、語り継がれます。

 刀には、1本1本逸話があり、その物語に惹かれ、その物語と歴史とのすれ違いが刀剣の魅力です。