裁量権のある仕事をする事が、健康寿命を延ばす

 動物園で飼育されている動物は、野生動物よりも生活条件が良いにも関わらず、寿命が短い事が多いです。

 たとえば、野生のアフリカゾウの平均寿命は65歳ですが、動物園で生まれたアフリカゾウの平均寿命は17歳です。

 また、環境が整えられた動物園の方が乳児死亡率も高いです。

 ホッキョクグマに至っては、65%もの乳児死亡率となっています。

 

 何故、野生動物よりも生活条件が良いにも関わらず、動物園で飼育されている動物の平均寿命は短いのでしょうか?

 その答えの1つが、選択が出来ない事にあります。

 シマウマはライオンの匂いがしても、そこから移動するという選択をする事が出来ません。

 サバンナを駆け回るためのDNAが刻み込まれているチーターは、生涯全力で走るという選択をする事が出来ません。

 このように選択の自由を奪われる事が、寿命を縮める1つの要因であると私は考えます。

 

 

 私達は、動物のように監禁されるおそれはないかもしれません。

 しかし、見方を変えられば、学校や会社等も、選択の自由を奪われた監禁であると捉える事も出来ます。

 

 ロンドン大学が、数十年に渡り、様々な階層の公務員1万人以上の健康状態を追跡調査した大掛かりな実験があります。

 一般にタイプAに該当するような競争心の塊のような上司は、心臓発作を起こしてポックリ逝くようなイメージがあるかもしれませんが、実際はそのイメージは間違いでした。

 最も収入や地位が低い階層で働く人は、最も収入や地位が高い階層で働く人の3倍も心疾患で亡くなる確率が高かったのです。

 考えられる1つの原因として、低階層で働く人は高階層で働く人よりも、喫煙率や肥満率が高く、定期的な運動をしていない事も考えられます。

 しかし、それらを考慮しても、低階層の人が高階層の人よりも、心疾患で亡くなる可能性は2倍以上も高いものでした。

 

 この原因を調べていくと、1つの答えに辿り着きます。

 職業階層の高さと仕事に対する裁量権の高さが、直接的に相関していたのです。

 つまり、裁量権のある仕事、自分で仕事に行く時間を決められたり、誰の指示も受ける事なく自身で仕事のペースを決められる人程、健康状態が良いという事です。

 会社の社長にとって、会社の利益責任を負う事は大きなストレスになりますが、それよりも無能な上司から合理的ではない指示をされたり、勤務時間や働く場所を自身で選択出来ない事の方が、ストレスが掛かり、健康に悪影響を及ぼしていたのです。

 

 仕事を続けていく上で、最も大切なポイントは裁量権があるかです。

 起業する人が増える事は、国民の心身の健康状態にポジティブな変化を起こし、医療費削減にも繋がるのではないでしょうか。