褒めるのではない。成長の跡を確認し、その事実を伝えるのだ

 

 …あんな風にバレーをやる人と一緒のチーム居って、俺はなんちゅう中途半端をやったんや。絶対もう呼ばれへん思とった…

 「世界一の奴らかて、同じ事ずーっとやっとったら、すぐ世界一から引きずり下ろされんねん。日本一にもなってへん俺らが、去年を昨日を守って明日何になれる?何かひとつでいい。今日挑戦しいや。」

 『ハイキュー』理石の脳内言葉と監督・黒須の言葉です。

 

 

 世の中を見渡していると、褒める事をする人が少ないと感じています。 

 これは、仕事においても、学校においても、家庭においても、同様です。

 

 ー褒めると叱るー

 数々の研究を集めてメタ分析した結果によると、ネガティブなフィードバック(叱る)よりも、ポジティブなフィードバック(褒める)の方が、モチベーション等、各種のポジティブな心理的・行動的な反応をもたらすという結論付けられています。

 冷静に考えてみれば、誰もが、叱られるよりも、褒められたいと感じるのは、人の自然な気持ちではないでしょうか?

 

 

 そして、褒め方により、モチベーション等、各種に心理的・行動的な反応に違いが出る事も明らかにされています。

 

 

 研究の対象者は、10歳前後の子ども達です。

 子ども達には、幾何学図形を使った知能検査を受けて貰います。

 中程度の難しさの問題を用意し、子ども達全員に、成績に関係なく「8割程度解けていた」と伝えました。

 

 その際、褒め方を2つに分けました。

  ①能力に対する褒め:「こんなに問題が解けて凄いね」

  ②努力に対する褒め:「一生懸命頑張ったね」

 

 その後、再び全ての子どもに、最初よりも難しい問題に取り組んで貰いました。

 終了後、子ども達に「半分も解けていなかった」と結果を伝えました。

 さて、このような経験をした子ども達は、その後、どのような行動をするようになったでしょうか?

 

 

 終了後「問題を解き続けたいか?」という質問をしました。

 ①能力に対する褒めを受けた子ども達は、問題に取り組む事を避ける傾向がありました。

 ②努力に対する褒めを受けた子ども達は、その後も問題に取り組み続けました。

 

 自分の成績の報告内容も、異なりました。

 子ども達は、悪い成績と告げられた後、別の地域に住む子ども達に、この問題について説明をしてほしい、さらに、内緒で自分の成績も教えるようにと伝えられました。

 その様子を観察すると①能力に対する褒めを受けた子ども達のうちの3分の1以上が、自分の得点を誤魔化したのです。

 これに対し②努力に対する褒めを受けた子ども達の中で、自分の得点を誤魔化したのは、13%でした。

 

 

 人は、褒められて育つ。

 勿論、命の危機となる場面や他者を傷つけてしまうような場面には、叱る事も必要です。

 ただ、デフォルトは、褒めであるべきです。

 

 さらに、人は、自分の努力を認めて貰って育ちます。

 日本人に褒める事が出来る人が少ないのであれば、あなたが褒める人になりましょう。

 褒められる事は、金銭的報酬を得る事と同様の効果がある為、お金を渡したり寄付をするよりも、褒める事をする方が、余程社会に貢献する事が出来ます。

 さあ、今日も褒めていきましょう。