西郷どんとの別れ

 「1日会えば1日分の愛情が生まれ、2日会えば2日分の愛情が生まれる。3日会えばもう離れられなくなる。」
 西南戦争んぼ西郷軍に参加した人が記した言葉です。
 司馬遼太郎も「結局西郷という人の魅力は実際に会うことでしか理解することはできない。」と記しています。
 『翔ぶが如く』の文章からは、「西郷は無能だったのではないか?」という司馬さんの疑問が犇々と伝わります。
 史実を振り返っても、西郷自身が描いた物語はほぼ存在しません。
 しかし、司馬さんや私が西郷批評をいくらしても、日本人の西郷への評価が揺らぐことはありません。
 日本人は西郷が好きです。西郷という名前に負の気持ちを抱く日本人は少ないでしょう。
 現在でも大久保が作った政治家や官僚を非難し、西郷のように弱い者を守るために働く現場の人を敬う傾向にあります。
 お金が悪い物であるという印象を家康が作り、西郷により継承されたと表現できるかもしれません。
 司馬さんが言う通り西郷の魅力とは会うことでしか理解できないのかもしれません。
 1人の人間の魅力のみにより、日本史を動かしたということに至っては西郷は日本史上唯一の存在といえるかもしれません。