話を聞くということ

 話を聞く力は、どのような仕事においても、不可欠な能力です。  人は、話の上手い人ではなく、自分の話を上手く聞いてくれる人を好きになります。  しかし、話を聞くということを深く考えたことは、あまりないのではないでしょうか。  そのヒントが、『宝石商リチャード氏の謎鑑定』に描かれていました。  「話を聞くというのは、相手の過去を少し引き受けることだ。別にそれで相手の荷物が軽くなるとは限らない。でも話せば何かが、形にならないままわだかまっているものが、光をあてられたおばけのように、姿を現すかもしれない。姿がわかれば、重さがわかる。重さがわかれば、多分背負いやすくなる。」  話を聞くというのは、相手の過去を少し引き受けること。  素敵な解釈であるとともに、そのように考えると、話を聞く姿勢もより真剣なものになります。