超アレルギー時代3

 

 

 「バカげてると思うか?茶番だと。だが、これをやるのが今のお前の現実だ。受け入れろ。」

 「大事なのは、できるという経験を得ること。」

 

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  『宇宙兄弟』イヴァンの言葉です。

 

 

 

  ♦アレルギーは、免疫機能の誤作動により引き起こされる

 

 「花粉症」「食物アレルギー」「アトピー性皮膚炎」等、私達が考えるアレルギーは、医学的には「I型アレルギー」に分類されます。

 「I型アレルギー」は、即時型と呼ばれる事もあり、アレルギーの原因物質であるアレルゲンに触れてから、15~30分で、症状が現れます。

 

 

  ♦「I型アレルギー」は、2つの段階を経て、発症する

 

 「I型アレルギー」は、2つの段階を経て、発症します。

 

 

  ☆1回目の侵入:無害な物質に対して、本来作られるはずのない「IgE抗体」が作られる

  「IgE抗体」が、免疫細胞の1つである「肥満細胞」に結合する

  アレルゲンに対する「IgE抗体」が作られた状態を「感作」と呼び、上記により「感作」が成立

 

  ★2回目の侵入:アレルゲンと「IgE抗体」が結合し「肥満細胞」から「ヒスタミン」等の物質が放出される

   これらの物質が、粘膜・血管に作用し、くしゃみ・鼻水・痒み等のアレルギー症状を引き起こす

 

 1回目の侵入を「感作」2回目の侵入を「アレルギー反応」と言います。

 

 

 

  ♦くしゃみ・鼻水・痒み等は、本来寄生虫を排除する為の機能である

 

 「アレルギー反応」は、本来寄生虫等のサイズの大きい病原体を、排除する為に、人類に備えられたシステムです。

 

  ☆痒みを解消する為に、皮膚をかく事で寄生虫を払い落す

  ★鼻水・涙により、寄生虫の卵を洗い流す

 

 これらの人類に備えられたシステムが、本来病原性のない「花粉」「食物」等も対して誤作動を引き起こしてしまう事で、アレルギーは起きるのです。

 

 

 

 「反吐が出るほど、ムカつくモノからしか、学べねぇことがあるんだよ。」

 「‥まだちょっと期待しちゃうな。オレって結構チョロいのかも。」

 

ジャンケットバンク 第159話 - 無料読み - Manga Jikan

 

  『ジャンケットバンク』獅子神と叶の会話です。

 

 

 

  ♦「衛生仮説」によれば、きれいな環境で育つと、アレルギーになりやすい

 

  1998年:7,5%

  2019年:30、1%

 

 5歳~9歳の「スギ花粉症」の有病率です。

 過去20年間で、子どもの「スギ花粉症」の有病率は、4倍以上にまでなっています。

 

  1999年:9,4%

  2019年:17,8%

 

 東京都の3歳児の「食物アレルギー」の有病率です。

 過去20年間で、子どもの「食物アレルギー」の有病率は、約2倍になっています。

 

 

 昔よりも、アレルギー患者が、増えている理由は、何故でしょうか?

 その理由を説明する1つの考え方が「衛生仮説」です。

 

 「衛生仮説」は、主に先進国で衛生環境が良くなった事が、アレルギーの原因だとする考え方です。

 衛生環境が良くなった事で感染症が減少したというメリットが生まれた一方、免疫反応が正しく発達しない事で「アレルギー反応」が起きやすくなったというデメリットが生まれたという考え方です。

 

 「衛生仮説」を裏付けるデータとして、日本人と遺伝的に近いモンゴル人を対象にした研究があります。

 

  ☆農村部で生活する人々

  ★都市部で生活する人々

 

 モンゴルは近年「農耕社会」から「工業社会」へ変わりつつある国の1つです。

 研究の結果、衛生環境が良い都市部よりも、衛生環境が悪い農村部の方が「アレルギー」を持つ人が多い事がわかりました。

 

 

  ▼衛生環境が良いと、何故アレルギーになりやすくなるのか?

 

 まだ、結論は出ていません。

 有力とされているのは、免疫細胞のうち「ヘルパーT1細胞」「ヘルパーT2細胞」という2種類の細胞の活性のバランスが、重要であるという考え方です。

 

 

  ★ヘルパーT1細胞:ウイルス・最近等の感染から身体を守る為に働く

  ☆ヘルパーT2細胞:IgE抗体を作り、肥満細胞を作る事により、寄生虫を排除する為に働く

 

 

 先でも触れたように「ヘルパーT2細胞」が、寄生虫以外の無害な物質にも反応してしまうのがアレルギーです。

 

 「ヘルパーT1細胞」「ヘルパーT2細胞」は、シーソーのような関係になっており、そのバランスが重要であると考えられています。

 

 「ヘルパーT1細胞」が放出する「インターフェロン」という物質は「ヘルパーT1細胞」自身を活性化しますが「ヘルパーT2細胞」の活性を抑えてしまいます。

 「ヘルパーT2細胞」が放出する「インターロイキン」という物質は「ヘルパーT2細胞」自身を活性化しますが「ヘルパーT1細胞」の活性を抑えてしまいます。

 

 

 私達が生まれた直後は「ヘルパーT2細胞」の活性が強くなっています。

 その後、様々なウイルスや細菌に感染する事で「ヘルパーT1細胞」が活性化されます。

 このようにして、私達は、正常な免疫機能を獲得していきます。

 

 しかし、衛生環境が整い過ぎて「ヘルパーT1細胞」が活性化する機会が少ないまま成長すると「ヘルパーT2細胞」の活性が強いままとなり、アレルギーを発症しやすい体質となります。

 

 これが「衛生仮説」の説明です。

 

 「可愛い子には旅をさせよ」という言葉に、私自身は多いに賛成します。

 「可愛い子は、自然に放り出せ」私からの未来へのメッセージです。