踊る側へ

 リーマンショックの時、私は大学2年生でした。

 経済や政治に興味を抱き始めた頃でした。

 友人にリーマンショックの話をしても、話が通じませんでした。

 教員にも、話しましたが、経済のことがわからないのか、「不況にこそ、福祉や教育は強いぞ。」と見当違いの答えが返ってきました。

 私が知りたかったのは、「なぜアメリカのウォール街で起こった1つの出来事が、世界中の経済に影響をするのか?」ということでした。

 誰も、その答えやヒントも教えてくれなかった為、私は何度も『朝まで生テレビ』や『サンデープロジェクト』を見直し、本を何冊も読みました。

 その時に、日経平均や為替というものを始めて意識しました。

 友人や教員だけではなく、私にとっても、リーマンショックは他人事であり、自分の生活には影響をしない遠い世界のことでした。自分自身に影響がないことには、関心等持てないものです。それは、当然のことです。

 それでも、私は、「次にリーマンショックのような出来事が起こった時には、当事者側になりたい。」と感じたことを現在でも覚えています。

 少なくとも、何も知らずに批判ばかりしている世間の人ではなく、損失を被ったり、原因を分析している当事者の方がかっこいいと感じていました。

 リーマンショックから12年後、現在生じているコロナショックは、リーマンショックと同じ位の経済的な衝撃があります。日経平均は2万円を割り、為替は101円となりました。コロナショックが半年早く生じていれば、消費増税も中止されていたことでしょう。

 私自身も、昨日かなりの額の損切りをしました。ボタン1つで、大きな額の損切りをする経験からは、様々なことを学ぶことができます。

 正直、損失を生み出すのは辛い経験ではありますが、あの時感じた「わからない。」「誰も理解してくれない。」という経験よりは、良きものです。