「‥フン‥遊んどるわ。飛雄くんマジメで頭のカタいイイコチャンやと思とったのに、1セットと違うローテで遊んどる。1セット落として、2セット目も接戦。しかも今日2試合目やのに、+a(プラスアルファ)を試しとるんや。合宿からの変わり様は何やねん。腹立つわー。」
「強いって自由だ。」
『ハイキュー』影山に対する宮侑と日向の言葉です。
人類が誕生したのが700万年前。農耕が誕生するのが1~2万年前。
私達は、そのほとんどの時間を狩猟採集をして生きてきました。
現在私達に生じている問題のほとんどは、脳は狩猟採集をしていた頃と変化していないにも関わらず、私達の環境だけが大きく変化している事により生じている事に起因すると考えられます。私達の脳は、いまだにサバンナの中に生きているのです。
現在でも、狩猟採集の生活をしている民族には、うつ病や不安障害を発症する人はおらず、糖尿病を発症する人もほとんどいません。
そして、狩猟採集社会には、重労働や苦役といった概念が存在しません。
日々の狩りや移動生活等のハードワークを、彼ら彼女らは負担だと考えていないようです。
その代わり、多くの狩猟採集社会は、日々の仕事を遊びに近いイメージで捉えています。
野生の動植物を狩り、獲物に応じた料理法を試し、移動先で見つけた木材で住居を作るといった作業は、歌や踊りに似た娯楽の一部なのです。
狩猟採集社会では、遊びを重視しており、幼少期から徹底的にゲーム感覚が叩き込まれます。
ボストン大学の研究によると、大抵の部族は、子どもが4歳になったころから積極的に遊ぶように働きかけます。
そして、夜明けから日暮れまで、仲間と好きに遊ばせます。
その間は、完全に放任主義で、大人は子どものやる事に口出ししません。
狩りに出掛けようが、森に秘密基地を作ろうが、何をするのも自由です。
遊びの期間は、14~15歳まで続き、それからようやく子ども達は大人の狩猟に同行を許されます。
もし私たちが、遊びを奪われたらどうなるでしょうか?
2011年アメリカ国立衛生研究所が、年老いたサルしかいない檻の中で子どものアカゲザルを育てる実験を行いました。
年老いたサルは体力がない為、子ザルは1日の大半を1人で遊ぶしかありません。
数年後、成長した子ザルは他の個体とは異なる反応を見せるようになりました。
普通の環境で育ったサルを新しい檻に移すと、好奇心いっぱいに周囲の環境を探索し始めます。
ところが、遊びを奪われて育ったサルは極度に怯えた仕草をみせ、檻の隅に縮こまったまま動かなくなりました。
サルの研究をそのままヒトに当てはめる事は出来ませんが、心理学者プロワイエが4,100人に行ったインタビューでも、ヒトの遊び心は幸福度と高い相関関係があるとの結論が出ています。
遊びは、単に毎日の暮らしに楽しみを与えるスパイスではなく、平等を維持し、平和を保つ為の重要な手段です。
遊びにより、ヒトは生きるのに必要な環境を整えてきました。
私達の脳はいまだにサバンナの中を生きていた狩猟採集の頃から、大きく変化していません。
狩猟採集民にとって、遊びと生活はイコールの関係です。
遊びの為に生きるのではなく、生きる事そのものが遊びなのです。