選択肢が増えるってわかっててやんないなんて、つまんねえよ2

 

 「ミヤアツムのサーブの時、足が床に張り付いて、なんか懐かしい気がしたんす。こわいって思う事が。」

 …怖いってハッキリ言える事が凄えな…

 「怖いが懐かしいって何だろ?」「さぁ。凡人にはわかんないデショ。」

 「でも、じいちゃんが言ったんすよ。」

 

 …夕坊、こわがる事の何が悪いかわかるか?…

 …オトコラシクないから?…

 「もったいないからさ。」

 

 …食わず嫌いしてたものを、やっぱり嫌いだって確認すること。敵意には理由があるということ。自転車に乗れたら、どこまで行けるのか。わからず終いはもったいねえのさ…

 『ハイキュー』西谷の言葉と菅さんの脳内言葉・山口・ツッキーの言葉、そして、西谷の子ども時代のじいちゃんとの回想です。

 

 

 ヒンズー教では、赤ちゃんが誕生した日に、神がその運命をその子の額に書くという言い伝えがあります。

 信心深い1人の男が、娘を授かりました。

 

 男は、娘が生まれた日に、神から2つの贈り物を貰いました。

 1つは予言を読む事が出来る眼鏡、もう1つは予言を書き換えられる鉛筆です。

 男は眼鏡をかけて、リストを読みました。そこには、こう書かれていました。

 

  10歳:親友が死ぬ

  18歳:クラスでトップの成績で高校を卒業する

  20歳:飲酒運転による車の事故で重傷を負う

  24歳:未婚の母となる

  29歳:結婚する

  32歳:起業をし、成功する

  34歳:離婚する

 

 男は、鉛筆に手を伸ばしました。

 

 

 もし、あなたが、この男だったらどうするでしょうか?

 いくつかの出来事を、書き換えるかもしれません。

 しかし、鉛筆の使い方には、注意が必要です。

 

 子どもにとって良い事であると思っていた事が、転じて、子どもにとって悪い事を引き起こす事があるからです。

 親が逆境や挫折・危機を全て消し去ってしまう事が、子どもを弱い存在のままにしてしまう事、未発達なままにしてしまう事に繋がります。

 

 「親の甘いは子に毒薬」という諺があります。

 親に甘やかされて育った子どもは、苦労を経験する事なく育つ為、自らの苦い経験から学ぶという大切な機会を失う事になります。

 

 親と子の関係は、上司と部下、師匠と弟子等にも当てはめる事が出来ます。

 限界を超えない程度の逆境や挫折・危機は、人が成長していく為には不可欠です。

 その最中で、もがき苦しんだ経験が、その後、その人の人生に大きな恩恵をもたらしてくれます。

 

 

 しかし、ここで1つの疑問が湧いてきます。

 確かに、逆境や挫折・危機を経験する事で、重要な教訓を得て、より強く優しい人になる事は理解出来ます。

 ただ、何故親が子どもに、上司が部下に、師匠が弟子に、そのような教訓を言葉で教える事が出来ないのでしょうか?

 

 その答えは、人生における最も重要な教訓は、他人から教わる事が出来ない為です。

 ある程度の時間を掛けて、自分の経験によって身につけていく事でしか、重要な教訓は獲得出来ません。

 勿論、歴史を学び、小説を読み、科学的なデータを観察する等をする事で、重要な教訓の予習をする事は出来ます。

 

 

 …それでも、こわかったらどうするの?…

 …そんなの決まってんだろ。助けてもらう…

 『ハイキュー』西谷とじいちゃんの会話です。

 

 助けてもらう事も、自身の経験によって身につける重要な教訓です。