「それが部下の成長を喜ぶ上司の顔ですか?」
「御手洗君は、真経津君だけじゃなく、眞鍋君の毒気にもやられている。今にも壊れそうな男に、一体何をやらせようっていうんです?」
「渋谷君、サッカーという競技において、最も重要な存在は何だと思いますか?」
「おっと!急に哲学的な話ですね。ゴールキーパー‥やっぱり派手好きなんで、ストライカーにしておきます。」
「残念ながら、不正解です。ゲームの成立に不可欠な最大の存在は、ボールですよ。」
「何人名選手が揃おうと、ボールがなければ、戦いは動かない。」
「我々特4の人間は、良くも悪くも、計算高く、誰もが理性的な動きをするせいで、波乱は起きません。だからこそ、御手洗君が必要なのです。」
「彼は、誰の味方にもなり得ます。出会った人間全員の影響を受け、思い込みによって、そこら中に飛び回る。」
「どれだけ正確に扱っても、完璧には動きも予測できない。そのズレが、我々に勝機をもららすんです。」
「無軌道によく跳ねる。それが、彼の仕事ですよ。」
『ジャンケットバンク』渋谷と宇佐美主任の会話、そして、宇佐美主任の言葉です。

私たちが野山に暮らしていた頃。
住んでいる洞窟は安全な場所で、その外側、狩りに出る森や草原は敵がいる危ない場所でした。
「ここにいると安心」
そういう空間を、私たちは昔から知っていたように思います。
「コンフォートゾーン(Comfort zone)」
心理学で用いられる「コンフォートゾーン」とは、私たちが「安心できる/自分のコントロール下にある」と感じられる領域を指しています。
☆いつも行くお店
★いつも乗る電車
☆いつも顔を合わせる職場の人々
あなたに馴染みがあり、心地よく感じられる空間。
これが「コンフォートゾーン」と呼ばれるものです。
人は「変化を好まない」生き物です。
♦変わらない事=安心出来る事
「勉強をしたいけど、出来ない」「転職したいけど勇気が出ない」「知らない場所に行きたいけど、いつもと同じ場所に行く」等も、変わることよりも同じ状態に留まることの方が安全であると、あなたの脳が判断をした結果なのです。
「コンフォートゾーン」がある事自体は、私たちが生きていく上で重要な意味を持っています。
「コンフォートゾーン」を持つ事で「心理的安全」が保たれるため、神経をすり減らすことなく心の健康を保つことが出来ますし、物事が無意識レベルにルーティン化されることで、効率性も高まります。
♦コンフォートゾーンは、人の成長を阻む事もある
同じことを繰り返す。この安心な領域の中には「変化」がありません。
成長とは変化していく事と同義語である為、ここに留まっていると、安心ではあるものの成長する事も出来ません。

①安心領域
②恐れの領域
③学びの領域
④成長の領域
「コンフォートゾーン」である①安心領域を出た後、私達は②恐怖領域に移ります。
②恐怖領域は、文字通り、強い不快感と不安に襲われやすいエリアです。
☆転職をする
★仕事において今まで取り組まなかった事に取り組む
☆今まで行った事のない場所に、旅行に行く
仕事においても、プライベートにおいても、新しい事に、チャレンジをする人は、必ず②恐怖領域を体験します。
私達は、反射的に②恐怖領域を避けようとし、②恐怖領域を逃れる理由を探します。
☆自分がやるべき時ではない
★こんな事をしても意味がない
☆今は、時期じゃない

言い訳を考える天才である私達は、反射的に②恐怖領域を避け、①安全領域に戻ろうとします。
しかし①安全領域に留まっているだけでは、成長が望めません。
同じ地位・場所に留まる事に固執した生物・人物が破滅していく事は、歴史が証明しています。
「魅力的な奴だけを、世界に入れる。誰もが、無意識にそうしてる。」
「だが、世界にたった一人だけ、どんなにダサくても、付き合わなきゃいけない奴がいる。」
「自分だよ。いつまでも完璧にならない自分。」
「死ぬ気で魅力を探さないと、世界の華やかさに、殺されるぞ。」
『ジャンケットバンク』叶黎明の言葉です。
②恐怖領域に、足を踏み入れる簡単な方法を、お伝えします。
♦「変な人」に話し掛ける
人は、基本的に、とても「保守的」な生き物です。
知っている人・場所・物に囲まれていると、安心します。
他人を見る時には、容姿・服装・態度等から「自分の知っているタイプ」に分類し、理解した気になり、勝手に安心します。
そして「自分に近いタイプ」の人に近づいていく傾向が高い事は、数々の研究により、明らかになっています。
その為「自分の知っているタイプ」に分類出来ない人や「自分からかけ離れたタイプ」の人に遭遇すると、私達は、反射的に、その人から距離を取ろうとします。
しかし「変な人」の定義は、時代や環境により、変わるものです。
現在、時代を動かしているトランプやマスクも、少し前までは「変な人」として、世界に認識されていました。
ワシントン大学のアンソニー・グリーンワールドは「社会科学引用インデックス」という論文を検索するデータベースで、12,000もの引用を調べました。
調べたい内容は、ユダヤ系の人は、ユダヤ系の学者の論文を引用するのではないかという仮説の検証です。
♦ユダヤ系の論文の著者は、同じユダヤ系の学者の論文を、たくさん引用している
♦ユダヤ系の論文の著者は、ユダヤ系ではない学者の論文を、殆ど引用していない
グリーンワールドの仮説は、当たっていました。
さらに、追加の研究を行いました。
「偏見」「差別」をテーマにしている学者に限定して、上記同様の調査をしました。
結果は、同じでした。
「偏見」「差別」を研究している学者でさえも、反射的に、差別的な事をしてしまうのです。
♦「変な人」として浮いてしまう人は、自分らしく振るまっている人
あなたが「変な人」を敬遠しているのであれば、一歩踏み出して、彼ら彼女らに、話し掛けてみましょう。
平均的な能力・経験等を持っている人と話していても、あなたが、成長する事はありません。
ただ、精神疾患を抱えている人や口や態度ばかりで何の実績も出していない「ただの変な人」には、近づかない方が賢明です。
残念ながら「変な人」と思って話し掛けてみても、精神疾患を抱えているだけであったり、何の実績も出していない口や態度ばかりの人である事も多いです。

①安全領域は確保しながら、意識的に②恐怖領域に足を踏み入れる経験を、人生に組み込んでいく。
これを繰り返す事でしか「領域展開」をする事は、出来ません。