頭の中のビデオテープを再生する

 昨日チャンピオンズリーグ、パリVSシティにおいて、メッシがパリ初ゴールを挙げ、パリが昨年の雪辱を果たし、勝利しました。

 私は、メッシのゴールを観て「懐かしい。」と感じました。

 そのように感じたのは、シティ戦でのメッシのゴールを初めて観たにも関わらず、ビデオテープを再生するかのように、メッシの同じようなゴールを観てきたからです。

 

 ある水泳のレースで、ある選手がアクシデントに襲われました。

 レース中にゴーグルに水が入ってきたのです。

 視界を奪われた彼は、それでも、泳ぎ切りました。

 レース後、電光掲示板を見ると「WR(ワールドレコード)」と記されていました。

 2008年北京オリンピック決勝、マイケル・フェルプスの物語です。

 フェルプスは、トレーニングにおいて、ビデオテープを再生するように、繰り返し完璧なレースを想像するという習慣をもっていました。

 想像といっても漠然としたものではなく、スタート台から飛び込み、ストロークを1つ、2つ、3つ、そしてゴール地点に着いたらターンをして、レースを終えてキャップを取り、手で顔を拭い、電光掲示板を見つめるという、その全てを頭の中で繰り返し想像していました。

 そのビデオテープの1つには、競技中ゴーグルに水が入るというアクシデントも想定されていた為、フェルプスは、アクシデントの中でも世界記録を出し、金メダルを獲得する事が出来ました。

 

 チェルシー戦、ベルナルド・シルバの活躍と見事な戦術により、勝利したシティに死角はないかと思いきや、それも数日で圧倒的な個人をベースにしたチームに敗れる所がフットボールの奥深い部分です。

 「才を見出し、才を育み、才を連ねる」

 「強者であれ」

 パリを見ていると『ハイキュー』白鳥沢学園高校のコンセプトが頭を過ぎります。

 戦術もよし、突出した才能に臣従するのもよし、様々なコンセプトがぶつかるからこそ、フットボールに引き寄せられます。

 パリVSシティの試合は、白鳥沢学園高校VS青葉城西高校の試合を観ているようでした。

 

 「小さく突けば小さく鳴り、大きく突けば大きく鳴る。西郷は釣り鐘のような人ですな。」

 勝海舟に西郷の印象を聞かれた龍馬の返答です。

 「評するも人、評さるるも人」

 どのような魅力的な試合も、解説のレベルが低いと、試合の魅力は半減してしまいます。

 WOWOWにおけるチャンピオンズリーグのとても残念な所です。

 パリVSシティであれば、実況西さん、解説川勝さんで聴きたいというのが、私の願いです。