…そうです。私は、誰よりも私を虐待し、私を殺してきた…
…感情を閉じ込めて。感情を追放して。誰も憎むこともなく。誰も恨むこともなく。みんなに優しく。みんなを愛して。私一人だけが美しく、生きていく。そんなことは、終わりにするって決めたんだ…
…戦場ヶ原さんが、教えてくれた。気づかせてくれました。味気がないーなんてものじゃありませんよね。私の人生は。優しくできなくなって。嫌われたり。イラついたり、ムカついたり。頭が悪くなるかもしれない。笑えなくなるかもしれない…
…あぁでも。一つだけ。どうしても心残りが。阿良々木君を悲しませたくない。ーあぁそれだけが本当に、忍びない。彼にとって、戦場ヶ原さんが言うところの私の味は。私の価値は。この白無垢さだけなのですから。でも、それでもいい。それでいい。私はもう嫌なことから目を逸らすのを、やめたのだ…
『化物語』羽川翼の脳内言葉です。
これは、私の持論ですが、自分の事を嫌いな人は、他人を攻撃します。
直接攻撃する人もいれば、悪口や陰口で間接的に、または自分とは関係のない著名人をSNSで攻撃する人もいます。
私は、そのような人達を、自分の事が嫌いな人と呼んでいます。
他人を攻撃し、他人の価値を下げる事で、自分の価値を相対的に上げるという方法は、醜いものです。
人生で災難が起こる度に、自己嫌悪に浸ったところで、何もなりません。
それで、何かが変わるわけでもなく、自分の事を可哀想と思ったり、可哀想と思ってほしいと願っても、何ら意味はありません。
自己嫌悪は感情の渦のようなもので、長くそこにいたら、どんどん深みに、はまってしまいます。
そして、自己嫌悪の渦に巻き込まれると、あっという間に、妄想の虜になってしまいます。
この負のスパイラルの犠牲になるのは、本人だけではありません。
周りの人達にも迷惑が掛かり、周りの人達は、そのような人から距離を取り始めます。
心理学者マーティン・セリグマンは、子ども時代に起きた出来事の影響を、大人になってからの人格にわずかでも見出すのは難しく、際立った影響等1つも見つからないという結論を出しています。
たしかに、人格に最も影響を与えるのは、過去ではなく、遺伝子です。
そして、私達が、どのような遺伝子を受け継ぐのかは、奇跡のような偶然です。
私は、個人の感想よりも、データを信じる世界観を持っているので、マーティン・セリグマンの結論に賛同しますし、そのような世界観を持つべきであるとも思います。
しかし、子ども時代から、心理学を仕事にしている現在に至るまでの現場での経験からは、マーティン・セリグマンの結論とは異なる見解を見出しています。
子ども時代に、育児放棄や虐待、悲惨な家族状況等で生きてきた人は、大人になって、精神疾患を患ったり、子どもを養う事が出来なかったり、離婚を繰り返す人が多いです。
否、私の所に相談に来る人が、そのような人が多く、多くの子ども時代過酷な環境で生きてきた人は、その影響等受けずに、懸命に生きているのかもしれませんが。
ただ、1つ言える事は、過去に不幸であったとしても、現在も不幸でいる必要はないという事です。
私には、上記の人達は、不幸を武器にしているように映る一面もあります。
不幸であるから、周りと繋がれる。不幸であるから、助けられて当然。不幸であるから、何を言ってもいい。
そのような人と、良い人間関係を構築する事は、不可能に近いです。
自分の事を好きになる事は難しいかもしれませんが、自分の事を嫌いにならない程度になりましょう。
その為には、不幸を武器にしていてはいけません。
自分を好きになるたった1つの方法は、自分が誇れる行動を重ねていく事だけです。
「羽川さんは、もっと頼るべきよ。」
…頼ってるよ。今は。今の私には、頼るべき私がいる…
…臆病な私は、私の身を護ってくれる。焦る私は、私に足りないことがあることを教えてくれる。怒る私は、私を解放してくれる。怖がる私は、勇気の大切さを教えてくれる。勇気を得た私は、私を強くしてくれる。絶望する私は、希望と言う存在を教えてくれる…
『化物語』戦場ヶ原ひたぎの言葉と、羽川翼の脳内言葉です。