「‥あなた達は、900年前に始まる空白の100年に世界に何が起きたのかを知ってるの!?」
「‥‥ああ。知っている。我々は、歴史の全てを知った。」
『ONEPIECE』ロビンとレイリーの会話です。
♦「おかえり」とは挑戦者に掛ける言葉
ヒンズー教では、赤ちゃんが誕生した日に、神が、その運命をその子の額に書くという言い伝えがあります。
…信心深い1人の男が、娘を授かりました…
…彼は、娘が生まれた日に、神から2つの贈り物を貰いました…
…1つは、予言を読む事が出来る「眼鏡」もう1つは、予言を書き換える事が出来る「鉛筆」…
…男は「眼鏡」を掛けて、リストを読みました。そこには、こう書かれていました…
18歳:クラスでトップの成績で、学校を卒業する
20歳:車の事故で、左足を切断する
24歳:未婚の母になる
29歳:結婚する
32歳:小説を出版し、成功する
33歳:離婚する
…男は「鉛筆」に手を伸ばしました…
もし、あなたが、この男(親)であったのなら、いくつかの出来事を書き換えたくなる事でしょう。
ただ「鉛筆」の使い方には、注意が必要です。
「子どもにとって良い事」だと親が思っている事が、転じて「子どもにとって悪い事」を引き起こす事もあります。
大きな逆境や挫折を全て消し去ってしまう事が、子どもを弱い存在のままにしてしまう事、未発達なままにしておく事に、なる可能性が高いです。
「‥ーだがお嬢さん‥慌ててはいけない‥キミ達の船で‥一歩ずつ進みなさい。」
「我々もまた‥オハラもまた‥少々急ぎすぎたのかも知れん‥。」
『ONEPIECE』レイリーの言葉です。
ここで、1つ疑問が湧いてきます。
逆境や挫折を経験する事で「重要な教訓」を得て、それにより強い人間・より成長した人間になる事は、理解出来ます。
しかし、何故親が子どもに、上司が部下に、師匠が弟子に、その教訓を口で教える事が出来ないのでしょうか?
逆境や挫折のような代償を払わなくても、子どもや部下や弟子が、その恩恵を受けられるような方法はないのでしょうか?
答えは「出来ない」です。
残念な事に、人生における最も「重要な教訓」は、親からも、上司からも、師匠からも、教わる事は出来ません。
「キミ達に今ここで‥歴史の全てを私が話しても、今のキミらには‥何もできやしない‥!!」
「‥ゆっくりと世界を見渡して、その後に、導き出す答えが我々と同じとも限らない‥!!」
「ーそれでも聞きたいと言うならば、この世界の全てを今、話そう。」
「いいえ。やめておくわ‥旅を続ける。」
『ONEPIECE』レイリーとロビンの会話です。
ある程度の時間を掛けて、自分の経験により身に付けておく事でしか「重要な教訓」は獲得出来ません。
☆知識に類別される教訓
★知恵に類別される教訓
「重要な教訓」には「知識に類別される教訓」と「知恵に類別される教訓」の2種類あります。
☆知識:ある事柄について知っている内容
★知恵:知識を活かして物事を正しく判断し適格に処理する能力
知識を、それを知っている事。
知恵を、どのように行動するかを知っている事。
このように表現出来るかもしれません。
「何だいいのか!?ロビン!今なんかすげェチャンスを逃したんじゃねェか!?」
「ーあのおっさん!!おれも1コだけ聞きてェんだけど、ひとつなぎの大秘宝ワンピースってのは本当に最後の島に‥」
「ウソップ~~~~っ!!!!」
「宝がどこにあるかなんて、聞きたくねェ!!!宝があるかないかだって聞きたくねェ!!何もわかんねェけど、みんなそうやって命懸けで海へ出てんだよっ!!!」
「ここでおっさんから何か教えて貰うんなら、おれは海賊やめる。」
「つまらねえ冒険なら、おれはしねェ!!!!」
『ONEPIECE』ウソップとルフィの言葉です。
親や上司・師匠等から、知識を受け取る事は出来ます。
しかし、親や上司・師匠等から、知恵を受け取る事は出来ません。
知恵は、自得するもの。
自分の経験を通じて、身に付けていく必要があるのです。
成功から得るものは少なく、失敗から得るものは多い。
勿論、心身ともに立ち上がる事が出来ないような逆境や挫折からは、逃げる事も大切です。
ただ、骨身にこたえるような苦難や骨身を削るような努力の中でしか、知恵を獲得する事が出来ない事も、1つの真実です。