…出会いは6歳の時。今思えば宗派の中で、権力争いしてる親同士の息子自慢だった…
…霊媒師の家庭の多分に漏れず、うちも立派な毒親だった。ほとんど家から出してもらえず、修行という名の虐待が続いた。何年も何年も。括の家も同じなのは、会うたびにわかった…
「マジでクソ家。メシはゲロ以下。」
‥会うたびに、どんどん下品になっていく‥
「まだうちの子は開眼しないのか。二人も居て情けない。曲直瀬の子も輪狩の子も、すでに開眼。あの痣木宵丸は、生まれたときすでに開眼していたというのに。三日三晩絶食の犠だ。二人とも極限を超え、霊道を開くのだ。」
「‥兄さん見て‥月がきれい‥」
「うん‥だな‥」
「ねぇ‥兄さん‥」
「‥ん?」
「兄さんの顔よく見せて‥僕のことも‥よく見て‥」
「楼太‥?」
「‥僕のこと‥忘れないでね‥」
「これしきの修行で死ぬとはな。情けない‥出来損ないだったか。蓮理お前は、ああはなるな。弟なんていなかった‥いいな?」
『デッドアカウント』蓮理の子ども時代の回想です。
トラウマからどう回復するかは、非常にシンプルです。
その方法とは、安心感を取り戻す事です。
ただ、この方法で最も大切な事は、人生でトラウマを受けたその場所に安心感を取り戻さなければいけないという事です。
たとえば、子ども時代の人間関係でトラウマを負った人は、魅力的である事や成功者である事に、エネルギーを向けがちです。
夜の世界に飛び込む10代・20代の若者や、20代・30代で成功した起業家等に、子どもの頃のトラウマを抱えている人が多い事も、この影響です。
自分がそれなりに魅力的な人間であれば、否定されたり、拒絶されたりしないだろうと考える為です。
しかし、あなたがどんなに魅力的でも、あなたがどんなに成功していても、あなたは否定されますし、拒絶もされます。
大人になり、このような考えの下、行動をしてしまうと、逆に魅力や成功に対する不健全で破壊的な執着を生み出してしまいます。
人間関係でトラウマを受けたのであれば、他者と健全で安全な関係を構築する事で、安心感を取り戻します。
お金でトラウマを受けたのであれば、十分なお金を確実に手に入れる為に努力をしたり、急な出費に備えて貯金する事で、安心感を取り戻します。
いじめでトラウマを受けたのであれば、新しい友達を見つける事で、安心感を取り戻します。
意識しないと、人は本当の問題ではない所を過剰に補おうとします。
たとえば、人間関係で悩んだのに、安心感を求めて、お金を溜め込んだりという具合です。
当然、本当の問題は一向に解決されない為、効果はありません。
トラウマとは、脳が変化した状態です。
脳や身体を本来の状態に戻るようにあなたが出来る事は、サバイバル・モードのスイッチをオフにする事です。
スイッチをオフにして通常の生活に戻る事が出来るよう、あなたが人生でトラウマを受けたその場所に安心感を与えてあげましょう。
…楼太の話を、家の中の誰もしなくなった。まるでタブーみたいに、忘れようとしてるみたいだ…
「僕だけは、忘れない。何ひとつ忘れてたまるか。」
「よう蓮。家でしようぜ。」
「く‥括‥?」
「楼太のこと‥聞いたぜ。やっぱりクソだろ、この世界‥うんざりだ。来いよ。」
『デッドアカウント』蓮理の子ども時代の回想です。