「儂は、街道や港は、城の普請(ふしん)の後で良いのではないかと言った。」
「しかし、源内は、まず民が使うものを先に整えるべき、何より民が富む仕掛けを作る。さすれば、自ずと田沼は富むと。」
「この相良は、儂と源内が、思い描いた通りの国になった。」
大河ドラマ『べらぼう』田沼意次の言葉です。
♦標高の富士山、深海の駿河湾、2つの日本一を誇る静岡県
私は、静岡県清水市(現在の静岡市)で生まれ、静岡県相良町(現在の牧之原市)で育ちました。
日本一標高の高い富士山と、日本一深い海である駿河湾に囲まれている、その風景は私にとって当たり前のものでした。
18歳で地元を飛び出し、外から静岡県を見ると、魅力的な県である事、さらに、その魅力を活かしきれていない県であると感じています。
☆日本一のお茶の産地
★日本一の「塩の道」の拠点である程、海の惠を受ける事が出来る
☆太平洋岸で唯一、琥珀色の油田が採れる
★徳川家康により名付けられ、田沼意次を輩出した街である
相良は、これだけの歴史がありながら、現在の相良を知る人からすると、先の意次の言葉を聞き「いやいや。」とツッコミたくなってしまいます。
「ちゃんと認めてあげないと駄目ですよ。咲太君の中にある、未来を拒んだ弱い自分を。」
「その弱さを信じることが、今を、未来だと認める第一歩なんです。」
『青春ブタ野郎は、バニーガール先輩の夢を見ない』牧之原翔子の言葉です。
♦古(いにしえ)の「塩の道」
かつての日本には、全国各地に海で採れた塩を、海のない内陸へと運んだ「塩の道」がありました。
静岡県にも相良を起点に、遠州地方を北上し、信州へ向かう「塩の道」がかつてありました。
相良は、全国屈指のお茶の産地として知られていますが、約16kmの海岸線で駿河湾に面する海辺の街でもあります。
相良が海とともに生きてきた街である事の証として、沿岸漁業の漁港や海水浴場が複数ある事の他、市の南部地区・旧相良町域に作られた塩田で製塩業が盛んに行われていた事が挙げられます。
江戸時代中期、相良藩主であった田沼意次も領民に塩作りを奨励しており、相良は塩の一大産地となりました。
相良で作られた塩は、地元で消費されるだけではなく、様々な生活物資とともに、海のない内陸の各地に運ばれ、そのルートは「塩の道」と呼ばれました。
「塩の道」は相良の中心部であった波津から始まります。
★菊川市内で「塩買坂」という名の坂道
☆掛川市内で「塩町」という名の街
これら「塩」に所縁のある名の街に、現在でも出逢う事が出来るのは「塩の道」の歴史を物語っています。
「塩の道」は静岡県を抜け、長野県に入ります。
「塩の道」の終着点は、塩尻。
「塩の道」の尻である事から、この町名がつけられました。
「わたしは、牧之原翔子です。牧之原サービスエリアの牧之原に、大空を翔ける子の翔子。少年の名前は?」
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見る』牧之原翔子の言葉です。
♦若き日々、もがき、苦しんだ舞台(ばしょ)が、後の人生のあなたを支えてくれる舞台(ばしょ)となる
☆南塩ルート
★北塩ルート
相良を起点として、長野県塩尻に至る、230㎞の「塩の道」は「南塩ルート」と呼ばれていました。
越後(現在の新潟県)糸魚川を起点として、長野県塩尻に至る、120㎞の「塩の道」は「北塩ルート」と呼ばれていました。
2つの「塩の道」を合わせると、350㎞となり、最長最古の「塩の道」となります。
また「南塩ルート」の静岡県内の多くの部分が「秋葉街道」とも呼ばれ、火伏の神として知られる「秋葉山本宮秋葉神社」へと続く、信仰の道でもあった為、相良から続く「塩の道」は、特別な道でした。
「咲太君、人ってどうして、色々な出来事を忘れるんだと思いますか?」
「きっと、辛い記憶が永遠に続くことに耐えられないから、人は、忘れるんです。」
『青春ブタ野郎は、バニーガール先輩の夢を見ない』牧之原翔子の言葉です。
大河ドラマ『べらぼう』において、意次は、江戸城内で起こる政治闘争から一旦離れ、相良の地を訪れます。
遠く離れた地に赴く事で、意次の中の源内先生との記憶は、辛く悲しい記憶から、楽しく嬉しい記憶に、変わっていきます。
…源内先生、坂本龍馬、土方歳三…
後の世に名を残す彼らは、10代後半~20代に掛けての殆どの時間を、何者でもないまま、もがき、迷いながら、過ごしています。
これは、私の持論ですが、何者かになるには、何者でもない時間が、必要です。
そして、その何者でもない時間に、もがき、失敗し、恥をかく中で、時折訪れる楽しく嬉しかった舞台(ばしょ)が、後に何者かになった時の支えとなります。
あなたが、まだ、何者でもないのなら、迷い・もがき・苦しみ、失敗し、恥をかいて下さい。
その時は、辛いでしょうが、その経験が出来るのは、あなたが挑戦している証であり、何者かになる途中だからです。
あなたが、何者かになったのなら、何者でもなかった時代に、迷い・もがき・苦しみ、失敗し、恥をかいた舞台(ばしょ)に、時折、赴いてみてください。
ガイドブックには決して載る事のない、あなただけの舞台(ばしょ)が、あなたの後の人生を、支え続けてくれます。