「先制は、ヴィオラ。フィオレンティーナ。」
コパイタリア決勝、北川さんの実況です。
この実況を聞き、興奮した人は、20年以上、カルチョを追いかけてきた人です。
昨年5月インテルとミランがヨーロッパの舞台で主役となり、そして、イタリアがヨーロッパの主役となる事を、セリエA推しとして願うというブログを書きました。
奇しくも、ナポリがリヴァプールに大勝しペップにヨーロッパで最も強いチームと言わしめ、チャンピオンズ準決勝においてミラノダービーが実現しました。
そして、チャンピオンズではインテル、ヨーロッパリーグではローマ、カンファレンスリーグではフィオレンティーナと、ヨーロッパの大会全てにおいてイタリアのクラブがファイナリストとなっています。
この結果だけを観れば、イタリアがヨーロッパの主役となっているといっても過言ではありませんが、誰もそのように感じていない事も、イタリアらしいです。
私が小学生だった頃、ユベントスとミラノの両雄は勿論、フィオレンティーナにはバティとルイコスタ、ローマにはトッティとモンテッラ、ラツィオにはネドベドとヴェロン、パルマにはブッフォンとカンナヴァーロがいました。
他にも、ボローニャにはシニョーリ、ブレッシアにはバッジョがいました。
当時、間違いなく、ヨーロッパの主役はイタリアでした。
それから、20年イタリアには暗い時代が続きます。
カルチョスキャンダル・イタリアクラブの財政難等から、選手は次々とイタリアを後にし、ファンもスタジアムを後にしていきました。
2000年代後半から2010年代後半までは、スタジアムには空席が目立ち、ユベントス以外は、ヨーロッパの舞台で闘う事も出来ない状態が続きました。
ワールドカップで優勝をして地に落ち、ワールドカップ出場を2大会連続で逃す事で復活してくるのも御愛嬌。
ユベントスが勝者であり続ける中で歴代最高のストライカーを獲得し世界中の注目を集め、サッリがイタリアに魅力的なフットボールを植え付け、ミラノの両雄は監督・選手共に苦しみ足掻き続けました。
その模索の中で、昨年、ミラノの両雄がヨーロッパでも闘える事を証明し、今シーズンは結果もついてきています。
その中でファンも再びスタジアムに足を運ぶようになり、今シーズンは観客動員数の記録更新が続いています。
決して、フットボールの質は、ヨーロッパの中心と呼べるようなものではありません。
それでも、勝利する事が出来るのがイタリアの魅力です。
「インテルが勝利する可能性はありますか?」
「もちろん。インテルは、決勝で3回勝っている。我々は、1回も勝っていないからね。」
ペップに対する記者の質問と、ペップの返答です。
これ程、どちらが勝つのか皆が予想が一致するチャンピオンズ決勝も、珍しいものです。
それを許してしまうのも、イタリアの魅力かもしれません。
私は、試合前にチャンピオンズのアンセムではなく、イタリア国歌が流れれば、インテルが勝利すると確信しています。