…千夏は、大人しい子に育ったと思っていた…
…小さい頃の溌剌(はつらつ)さは落ち着き、むしろ人見知りで、真面目で、1人で何事も解決できる強い子だと…
…だから、誰かにあんな風に感情を見せる子だと思わなかった…
…「大喜くんがいてくれたから、苦しい時も踏ん張って頑張ってこれた‥。」…
…この子のおかげか…
『アオのハコ』千夏の父の脳内言葉と、父に過ぎった千夏の言葉です。
1位:子育てに対する経済的な負担:55,6%
2位:自分の自由な時間が持てない:46,0%
内閣官房の調査による「子育てをしていて負担に思う事」の1位と2位です。
経済的な不足に加え、時間の不足は、子育て世代にとって、深刻な悩みです。
♦世の中で、最も大切な事は、何でしょうか?
私は、上記の問いに20代の頃から「時間」と解答をしており、その解答は、現在でも変わりません。
最強の魔法も「時間魔法」であるという解答も、現在でも変わりません。
しかし、子育てをしていると、自分の時間を確保する事は、困難を極めます。
本・漫画を読む頻度は減り、アニメ・映画を続けて観る事等出来ず、映画館・劇場に足を運ぶ事も出来なくなります。
勿論、その代わりに感じる子育ての喜びがある事は確かですが、子育ての喜びを感じるからとって、自分や夫婦だけの時間がなくなってよいのかという話は、別問題です。
子どもの教育にお金を支払う事同様、子どもの教育に時間を掛ける事も、親が子どもに対して行う投資です。
この投資を「時間投資」と呼びます。
☆勉強への時間投資
★体験への時間投資
子どもの教育に対する時間投資は「勉強への投資」と「体験への投資」に大別する事が出来ます。
☆勉強への時間投資:絵本を読む・宿題を手伝う等
★体験への時間投資:公園で遊ぶ・水族館等に行く等
イギリスの生活時間調査のデータを用いて研究では、母親が行った「勉強への時間投資」「体験への時間投資」のそれぞれが、3歳・5歳・7歳時点での子どもの認知能力・非認知能力に与える影響を解明しました。
その研究成果の前に、現代を生きる人であるのなら「どうして母親だけなのか?」という疑問が浮かぶでしょう。
データが取られ始めた1990~2000年頃には、子育ては母親がするものという世界観が定着しており、まだ父親は仕事をするだけという事が許された時代でした。
現代では、父親が子育てをする事は当たり前になってきている為、徐々に、子育てに関する父親のデータも収集されてきています。
研究からも、時代の価値観の変容を感じ取る事が出来る事は、面白いものです。
母親の時間投資は「勉強」「体験」を問わず、子どもの認知能力・非認知能力を高めます。
☆勉強への時間投資→認知能力を高める
★体験への時間投資→非認知能力を高める
ただ、勉強への時間投資も非認知能力を高めますし、体験への時間投資も認知能力を高める事が、証明されています。
♦何故、体験への時間投資が、認知能力を高めるのでしょうか?
様々な体験をする事で、考える力が身に付き、その考える力を基に勉強に取り組む事が出来るからです。
♥時間投資の効果は、子どもの年齢が小さい時の方が大きい
特に「勉強への時間投資」において、顕著です。
子どもが3歳時点では「勉強への時間投資」の効果が大きいですが、7歳時点ではその効果は殆ど0になってしまいます。
しかし、3歳時点での「勉強への時間投資」の効果は、子どもが年齢を重ねていっても、持続する事が証明されています。
3歳時点で行われた「勉強への時間投資」は、言葉の発達にポジティブな影響を与えます。
これが基になり、5歳・7歳時点での認知能力を伸ばす事に繋がるのです。
上記のように、子どもの年齢が小さい時の時間投資の効果は、子どもが年齢を重ねていっても持続します。
そして、持続力が高いのは認知能力よりも非認知能力です。
この続きは、また明日。