「俺は、不老不死になりてぇのさ。」
「まさか、仙薬を自分で服用するつもりですか?」
「ガハハちげーよ。幕府の奴らと同じちんけな意味じゃねぇ。言葉通りの不老不死など退屈なだけだ。天下に轟く偉業を成す。然すれば、俺の名は世々限りなく語り継がれ、やがて伝説となり、いずれは児子(ガキ)の寝物語にもなるだろう。この民谷巌鉄斎の名は、老いず死ぬ事もない。まさに、この姿が、この言葉が、絵となり、文字となり、途方もない先の時代に残る。これぞ真の不老不死だ。」
『地獄楽』巌鉄斎の言葉です。
歴史を学び、最も学び得た教訓は、成功は没落の始まりであり、失敗は栄光の始まりという摂理です。
中華史上初めて中華統一を果たした秦、日本史上最も革命的な行動と結果を出した信長、戦国時代に終止符を打ち天下統一を果たした秀吉。
どんなに強大な国も人物も、成功をして栄華を極めた瞬間から、没落と失敗が始まります。
その一方で、逆境や艱難辛苦が国や人物を鍛え、そこから栄光が始まる事もあります。
どんな大帝国でも、どんな偉人でも、直線的な成功も失敗も、ありません。
あるのは、永遠のアップダウンです。
私達に起きた出来事を振り返ってみても、実感出来ると思います。
人に裏切られたり、適切な評価をされなかったり、大切な家族との別れ等、ショッキングで残念な事の多くは、その瞬間私達を打ちのめし、もう立ち上がる事は出来ないかもしれないと思わせます。
しかし、時が経つと、このショッキングな出来事が、私達を覚醒させ、鍛え、そのおかげで行動するしかなくなり、私達を次の人生のアップダウンのステージに連れていってくれている事に気が付きます。
人生で起こる全ての事は、途中経過です。
その瞬間の出来事のみに囚われ、一喜一憂する事こそ、危ういものです。
残された家族や会社の事まで考えるのであれば、自分の死すら途中経過なのです。
人生に、勝ち逃げも、負け逃げも、ありません。
勝ち逃げしたと思っても、残された家族や会社が不幸になるかもしれません。
負け逃げしたと思っても、あなたの物語が、残された家族や会社を勇気づけ、次なるアップダウンのステージに乗る為の起爆剤となるかもしれません。
私達に起こる全ての事は、途中経過に過ぎません。