「‥あの‥塚田先生、やりたいことって‥どう‥見つければいいんすかね‥。」
「‥何か迷ってるのか?」
「え‥あ‥いや‥なんつーか‥自分が好きなことでも、仕事としてやりたいことなのかって考えた時‥あんま‥ピンと来たことがなくて‥。でも‥オレの家族は好きなことを仕事にしてるんで、分かんなくて‥。」
「紬は‥偉いなぁ‥ちゃんと考えて‥宇佐美にも見習ってほしいよ‥。」
「‥俺は今、教師って仕事をしてるけど、幼い頃からの夢ってわけでもなかったぞ?なんなら初めは、ため息つきながら、職場向かってたし。」
『薫る花は凛と咲く』紬凛太朗と塚田の会話です。
ー好きな事を仕事にしようー
あなたも、1度は聞いた事があるのではないでしょうか?
2005年のスティーブジョブズのスピーチにより世界中に広まった世界観ですが、すでに、紀元前5世紀には孔子が「自分の愛する事を仕事にすれば、生涯で1日も働かなくて済む」という言葉を残しています。
ギャラップ社が139カ国の企業に行った調査において、下記の結果が出ています。
★熱意を持って仕事に取り組んでいると答えた日本人は6%
☆仕事にやる気がないと答えた日本人は70%
この数字は、139カ国中、132位の結果です。
このような状況下においては「好きな事を仕事にすれば、幸せな人生を送れるはず」と考えるのは、自然な事です。
では「好きな事を仕事にする」事で、あなたは、幸せになるのでしょうか?
「え‥なんか‥想像つかないです‥楽しく仕事してるいい先生って感じなのに‥。」
「崩すな崩すな。昔から、いい先生だ、俺は。」
「じゃあ‥何で教師になったんですか?」
「‥人に何かを教えることが、苦じゃなかったから。」
「‥親が教育熱心でな、勉強は結構してきた方だと思う。でもその分、成績が特別良かったかって言われると、そうでもなくてさ。」
「とはいえ、周りのヤツらに教えられるくらいの頭はあったから、よく皆が頼ってくれてたんだけど、ある日、言われたんだよ。」
「こんな面倒くさいこと、ありがとうって。でも、俺は全くそう思ってなかったんだよな。」
『薫る花は凛と咲く』紬凛太朗と塚田の会話です。
2015年ミシガン州立大学が「好きな事を仕事にする人は、本当に幸せか?」という研究を行いました。
数百を超える職業で働く人達から、聞き取り調査を行い、仕事の考え方が、個人の幸福にどのように影響をしているのかを調べたのです。
研究者は、被験者の「仕事観」を、2つのパターンに分類しました。
①適合派:好きな事を仕事にする事が幸せだと考えるタイプ
給料が安くても、満足出来る仕事がしたいと答える傾向が高い
②成長派:仕事は続けるうちに好きになるものだと考えるタイプ
仕事は楽しくなくていいけど、給料は高い方がいいと答える傾向が高い
いかがでしょうか?
①適合派と②成長派、どちらの方が、幸せに見えますか?
一見①適合派の方が、幸せになれそうに見えます。
自分が情熱を持てる仕事に就く事が出来れば、毎日が楽しく、金目当てに働く人よりも、人生の満足度や幸福度は、高いように感じます。
しかし、結果は、意外なものでした。
「‥その時に、俺は、一人で黙々と机に向かうよりも、人に教えることの方が、自分には向いてるって気づいた。」
「別に、それが好きって訳でもなかったけど!」
「‥いくら好きなことを仕事にできても、その仕事に大変だと思うことがあれば、好きでい続けるのは、結構しんどいよ。」
「やりたいこと=好きなことで、固定しなくてもいいんだ。少し見方を変えて、自分が得意なこと・何が向いているかで、選んだっていい。」
「他の人にとっては大変だと思うことでも、自分にとっては、そう思わない部分があるって、大きな武器だと、俺は思うぞ。」
「‥ま、大人の経験談として、頭の片隅にでも、置いといてくれ。」
『薫る花は凛と咲く』塚田の言葉です。
①適合派の幸福度が高いのは、最初だけでした。
以降、1~5年の長いスパンで見た場合、幸福度・年収・キャリア等のレベルは②成長派の方が、高かったのです。
研究チームは「①適合派は、自分が情熱を持てる職を探すのは上手いが、実際にはどんな仕事も好きになれない面がある。」と分析しています。
どんなに好きな仕事に就いたとしても、経費の精算等の事務作業・対人トラブルといった、大量の面倒が起きる事は、仕事の常です。
ここで好きな仕事を求める気持ちが強いと、その分だけ、現実の仕事に対するギャップを感じやすくなります。
①適合派の人は「この仕事を、本当に好きなのだろうか?」といった疑念が湧いてきます。
その結果、最終的な幸福度が下がる傾向があるのです。
これに対し、②成長派は、仕事への思い入れがない分、トラブルに強いです。
最初から仕事に対して期待をしていない為、トラブルが起きたとしても「仕事とはこんなものだ」と思う事が出来るからです。
好きな事を仕事にする人程、仕事が長続きしないと言われたら、どう思いますか?
この続きは、また後程。