「人はみな誰にも見せぬ自分を持っている。友人にも、恋人にも、家族にさえも、張りつけた笑顔や虚勢で本音を隠し、本性を隠し、そうやって世界は、かりそめの平穏を繕っている。」
『SPY×FAMILY』物語の初めの一説です。
突然ですが、誰にでも本音を話すべきではありません。
たまに雑談する程度の職場の同僚から「母親が認知症になり、介護がものすごく大変。」という話を2時間も話されたら、あなたはどう思うでしょうか?
「私に相談してくれて嬉しい。」と思いますか?
「なんで、そんなに親しくもない人の重たい話を2時間も聞かなきゃいけないんだろう。」と思うはずです。
誰も教えてくれませんが、親しくもない人に、本音で相談をされても迷惑である事がほとんどである事が現実です。
「誰にでも、本音を話すべきではない。」とアドバイスをすると「そんなことはない。本音と建前を使い分けるような生き方は嫌だ。」等と反論を言う人が必ず出てきます。
しかし、誰にでも本音を話さないという事は、嘘をつく事でも、偽りの中で生きていく事でもありません。
心理学ではペルソナという考え方があります。ペルソナとは、仮面という意味です。
私達は、誰もが、生活の中で、自然といくつものペルソナを使い分けています。
たとえば、会社では会社員の仮面を被り、家では仮面を取り素の自分でいられるかもしれません。
さらに、上司と接する時は部下の仮面、部下と接する時は上司の仮面、夫婦の間では夫や妻の仮面、子どもと接する時は親の仮面を被ります。
実際に、上司、部下、パートナー、子どもと接する時には、それぞれ言葉遣いや表情、態度等が変わっているはずです。
このように、誰もが、ペルソナを使い分けて、生活しています。
もしも、会社でも、家でも、同じペルソナを被り、自分の思うがままに振る舞い、素の自分をさらけ出していたら、会社も家族も成立しません。
そればかりか、世の中は犯罪で溢れ、社会が機能しなくなってしまいます。
本音と建前を使い分けるのではなく、ペルソナを使い分けるのです。
このように考えるだけで、人間関係の軋轢やストレスは大きく減少します。