「スタディオ・オリンピコです。イタリア語には、バンディエラという言葉があります。旗という意味です。この言葉は、イタリアサッカー界においては、クラブの象徴を意味します。」
「90年代から2000年代初頭には、この言葉が紙面を飾ることが多かったものの、今日(こんにち)では、あまり見かけなくなりました。それは、もはや、1チームに留まることが時代にそぐわないのかもしれません。」
「しかし、このASローマには、脈々と他のクラブには薄くなってしまった、このチームの象徴というものが息づいています。ジャンニー二やトッティ、ディ・バルトロメイ、そして、DDRことダニエレ・デ・ロッシ。18年間トップチームで、トッティの背中を見ながら成長し、今日が615試合目。今日ローマを去ります。」
「ASローマの今回の決断に関して、私は言いたいことは山ほどあります。しかし、それをグッと堪えて90分間ダニエレ・デ・ロッシの雄姿をロマ二スタの皆さんと、そして、セリエAを愛する皆さんと共に目に焼き付けたいと思います。今日は、私にとって痛みの伴う90分間です。」
デ・ロッシ、ローマでの最後の試合の北川さんの伝説の実況です。
♦バンディエラとは、変わらない強さの象徴であり、変われない危うさの象徴でもある
ーー旗を降ろさなかった国がある。
その旗とは、忠誠の証。
その誇りとは、同じクラブで戦い続ける事。
移籍をする者より、残る者が称えられた国。
挑戦より、継続が尊ばれた国。
それが、私達が愛し、笑い、泣いたカルチョであり、イタリアという国であった。
だが、歴史は時に残酷だーー。
ー忠誠とは、契約ではない。忠誠とは、生き方であるー
バンディエラ=旗(クラブの象徴)。
つまり、生涯1クラブの選手の事です。
☆フランチェスコ・トッティ(ローマ)
★パオロ・マルディーニ(ミラン)
☆アレッサンドロ・デルピエロ(ユベントス)
これは、世界でも珍しい、イタリア独特の文化です。
イタリア以外の国は、強いクラブへ移籍=成長です。
しかし、イタリアは、クラブに残る=忠誠です。
クラブへの忠誠が求められる国。イタリア。
実は、ここにイタリアの哲学があるとともに、イタリアが3大会連続ワールドカップ出場を逃した要因があります。
ーーバンディエラとは、単なる選手の事ではない。
変わらない事を選んだ選手の象徴であり、そのクラブの、否、街の象徴であった。
だが、歴史は時に残酷だ。
変わらない者は、美しい。
だが、変わる者が、勝つ。
これは、サッカーだけの話ではない。
国も、会社も、人間も、同じだ。
私達は、安定を選ぶのか、競争を選ぶのかという問いの中で、日々生きているーー。
「いのりさん。スポーツで難しいのは、強くあり続けることなんだ。」
「変化があるから強くあり続けるのは、難しいんだ。でも、トップ選手は、その難しさに挑戦しないといけない。」
「免許更新をするように、毎年強化選手であり続けること。全ての日本選手の誰よりも、勝利を賭けたくなる選手になること。」
「このジュニアのステージから、選ぶのではなく、選ばれる側になるんだ。」
『メダリスト』司の言葉です。
ー競争は才能を作るが、忠誠は物語を作るー
私は、イタリアの美徳が、競争を止めた事が、ワールドカップを3大会連続で逃した要因であると考えています。
バンディエラ文化とはーー
☆忠誠
★誇り
☆アイデンティティ
私はバンディエラ文化が好きですし、これがイタリアの魅力でもあると感じています。
しかし、競争の観点では、移動少ない=環境変化少ない。
つまりーー
★違う戦術経験少ない
☆違うリーグ経験少ない
★違う監督経験少ない
ーーとなり、結果→適応力低下が生じます。
現代フットボールは、名前や歴史で勝つ事は出来なくなって久しく、適応力=強さとなっています。
ーー私達は、安定を選ぶのか、競争を選ぶのかという問いの中で、日々生きている。
ワールドカップを3大会連続逃したのは、戦術の問題なのだろうか?
それとも、変わらない事を選び続けた哲学の帰結なのだろうか?
忠誠とは、強さなのだろうか?
競争とは、進化なのだろうか?
イタリアの停滞とは、一国の敗北なのではない。
それは、変化と安定のどちらを選ぶのかという、人類共通の問いなのかもしれないーー。
ー組織が衰える時、それは負けたからではない。変わらなかったからであるー
実は、イタリアの美徳と、日本の美徳は、とても似ています。
寧ろ、社会構造として観察すると、同じ思想の別の形とも表現出来ます。
☆バンディエラ=終身雇用型スター
★サラリーマン=企業バンディエラ
この続きは、また後程。