心とは氷山のようなものである。氷山は、その大きさの7分の1を海面の上に出して漂う

 分析心理学の創設者ユングは、個人の意識の奥には個人的無意識があり、そのさらに奥には集合的無意識の領域が広がっていると考えていました。

 集合的無意識という領域は、個人の範囲を超えて共有される無意識であり、それは民族的、時代的な広がりを持つ人々の中で共有されるものとされています。

 つまり、日本人であるとか、昭和世代・平成世代・令和世代等というものです。

 そして、ユングは個人の意識とは、個人的無意識の表出であると同時に、その個人的無意識は集合的無意識の表出であると考えていました。

 

 ユングの考えを解釈すると、私達が日頃意識している自分というのは、その元を辿ると遥か広大な領域である集合的無意識から影響を受けています。

 私達は普段、集合的無意識に影響を受けている等、気づきません。

 しかし、その国ごとに異なる文化やその世代ごとに異なる価値観があり、私達はその文化や価値観を意識せずとも受容し、生活に取り入れながら生きています。

 

 無意識を意識しない限り、人生は無意識に支配されてしまうという危機感をユングは抱いていました。

 その事は同時に、私達には常に広大な可能性が秘められているとも捉える事が出来ます。

 私達は、人生を歩む中で、それまで出逢う事のなかった新しい自分に出逢う事が幾度となく起こります。

 そして、これ以上新しい自分に出逢う事はないだろうと思っていても、その予想は外れ、時の経過とともに、また新しい自分に出逢います。

 

 現在自分自身に限界を感じていたとしても、それは意識出来ている範囲の事に過ぎません。

 ユングの考え方は、自分にはまだまだ予想も出来ない新しい可能性が眠っていると思わせてくれます。

 どこか暗いイメージのあったユングですが、その考えを学ぶと、希望と救いをもたらす心理学である事が理解出来ます。