「‥さっき凛太郎が、学校行く前にここに来て、心配してたぞ。」
「‥‥はは‥っぱ、だせーなぁ‥。」
「‥父さんは‥さ、ケーキ作りが好きだろ?その気持ち‥とかが揺らいだっことて‥ある‥?」
「ない。」
「デスヨネ。」
「なんだ、仕事が嫌いになったのか?」
「もうちょっと‥なんか‥こう‥包んで言ってくれよ‥。」
『薫る花は凛と咲く』父と颯太郎の会話です。
♦手探りでも何でもいい。意地でも次のドアに手を伸ばし続けることだ
ー自信がないから出来ないのではなく、やってみたから自信がついたー
そんな逆転の発想が「行動心理学」においては、重視されます。
この世界観の根拠となっているのが、スタンフォード大学の心理学者・バンデューラの提唱した「自己効力感」の理論です。
「自己効力感」とは、目標を達成する為に自分なら出来るという自信や確信の事です。
バンデューラは、成功体験が最も強力に「自己効力感」を高めると主張しています。
ー小さな成功の積み重ねが、やれば出来るかもしれないという感覚を強くし、その感覚がさらに行動を促進するー
このポジティブな循環が、成長と挑戦のサイクルを生み出します。
また、実際にやってみる事で、初めて、自分の適性や向き・不向きが、具体的に見えてきます。
頭の中で想像していた不安や苦手意識が、実際にやってみると案外そうでもなかったという経験は、誰もがした事があるのではないでしょうか?
「仕事は‥楽しいと思ってはいるよ!ほんとに!元々やりたいことだったし‥周りはいい人たちばっかだし。」
「でも‥仕事となると、また別になってくるっていうかさ‥自分のミスで、お客さんのガッカリした顔見る時だってある。それで先輩に怒られることも。」
「お客さんに申し訳ねぇし、俺(アシスタント)のミスは、先輩(スタイリスト)の責任になっちまう。何度情けねえって思ったかな‥はは‥。」
「同じことをしないように努めても、今度は別のことで失敗して‥そういうことが積み重なっていって‥ふとした瞬間に、好きなことへの気持ちが揺らぐようになって‥仕事ってそういうものなんだろうって、覚悟はしてたんだけどなー‥。」
「‥俺の夢(この仕事)は、俺にとって、こんな簡単に揺らぐことだったんだなって。」
『薫る花は凛と咲く』颯太郎の言葉です。
♦選択肢が増えるってわかってて、やんねえなんて、つまんねえよ
実証的な研究においても「とりあえずやってみる」事の効果は、示されています。
ロイファナ大学の研究において、大学生を対象に、行動を早く開始する事で、自己評価がどのように変化するかを測定しました。
★行動を起こしたグループは、先延ばしにしたグループと比較し、自己効力感が向上した
研究結果は、上記のようなものでした。
ー行動が先・気持ちは後ー
研究結果からも、行動が先・気持ちは後という順序が、示されています。
行動の結果、失敗をしたとしても、何の問題もありません。
失敗をしたとしても、その経験は、成功の前段階として記憶に残り、次の挑戦の糧となります。
行動をしないままの完璧な構想は、いつまで経っても、空想のままです。
ーとりあえず、やってみるー
その一歩が、あなたの、人生の選択肢を、確実に拡げてくれます。
「‥ハッそう思った自分に失望したわーみたいな感じ。」
「俺まだ社会人1年目だぜ?生意気だよな。ごめん父さん、こんなくだらない話しちまって。」
「‥今年社会人になったんだから、まだ1年も経っていないだろう?」
「正確に言い直さないでくれない!?」
「この前まで学生だったやつが、新しい環境で新しいことを仕事としてするんだ。悩んで当然だし、それは真剣な証拠だ。」
「お前にとって大事なことなんだろ?自分で自分の悩みを、馬鹿にするな。」
「‥ごめん。」
「‥好きなことを、その気持ちだけでやっていけるなら、それに越したことはない。でもなかなか‥そうもいかないものだよ。」
「‥父さんって仕事で、悩んだことあんの!?」
「ない訳ないだろ‥。」
『薫る花は凛と咲く』颯太郎と父の会話です。
♦チャンスは、準備された心の上に降り立つ
新しい事に挑戦すると、これまで想定もしていなかった出逢いや発見が舞い込む事があります。
その理由は、シンプルです。
新しい挑戦という行動をする事で、あなたと環境との接点が増え、偶然のきっかけを掴める可能性が、拡がる為です。
これは、心理学でいう「セレンディピティ(偶然の幸運)」「偶発的学習」にも関係しています。
コーネル大学の研究では、思いがけない成功を経験している人達は「とにかくやってみる」という行動を、普段から選択しているという結果が出ています。
世の中の結果は、予想出来ない偶然に、左右される事が多いです。
その為、まず動いてみる事が、成功に繋がるチャンスを増やすコツなのです。
「それでも仕事を辞めたいと思ったことは、俺にはない。‥というより辞められない。」
「ケーキ作りが、自分にとって楽しいことだと知ってしまったからな。」
「続けていくなら、どうしたら自分が、ケーキ作り(そのこと)への思いを枯らさずに、先へ進めるか。」
「悩んで悩んで、色んな術を見つけていくしかないんだ。」
「そう‥だよな。俺にも見つけられんのかなー。そういう術とか‥続けていく理由とか。」
「それに‥父さんも俺も‥似たような仕事じゃん?人を喜ばせる仕事ってうか‥俺にも誰かを喜ばせられるか不安だわ。」
「‥?先のことはお前次第だが、お前には、もうその経験があるじゃないか?」
「え‥?」
「凛太朗、今の髪型気に入っていたな。お前がしてやったんだろ?」
『薫る花は凛と咲く』父と颯太郎の会話です。