「これまでの海では海賊王と口にするだけで、笑われてきた。」
「ーだがこの先は‥それを口にする度胸のねえ奴が死ぬ海だ‥!!新世界で会おうぜ。」
『ONEPIECE』キッドの言葉です。
♦やっても無駄は、怠け者の逃げ道
「新しい事をして失敗する位なら、別にこのままでいい」
このような事が、脳内に浮かぶ時、私達は、すでに「現状維持バイアス」の影響を受けています。
★変えるには、エネルギーが要るから
☆下手に変えて、失敗したら皆に笑われる
★新しい事は、わからない事ばかりだから怖い
上記のような私達ホモ・サピエンスに備わっている本能的な感情が、現状を正当化し、変化への一歩を躊躇わせます。
私達ホモ・サピエンスは、身体的にも、認知的にも、感情的にも「楽をしたい」という性質を持っています。
★いつもの道を選ぶ
☆いつもの店に行く
★いつもと同じ漫画を読む
上記のような行動は「楽だから選ばれる」という点で、脳にとっては、とても都合がいいものなのです。
ミシガン大学とデューク大学の習慣に関する共同研究において、下記のような結論が出ています。
日常的な行動の多くは「自発的な意思決定」ではなく「過去の繰り返しと環境」により、自動的に行われている。
つまり、私達は意識的に現状を選択しているように見えて、実際には「ただ慣れているから」「前もそうしたから」等と、過去と同じ行動を繰り返しているだけなのです。
この習慣による選択は、思考や判断等を省略出来る為、脳にとっては快適です。
意識して考える必要がないという点で、現状を続ける事自体が、1つの安心感をもたらしてくれます。
このような心理構造に「短期的な安心感」が結びつきます。
動かなければ疲れないし、失敗もしない。
少なくとも、今日や明日は、無難にやり過ごす事が出来ます。
この「即効性のある安堵」こそが、私達ホモ・サピエンスが「現状維持」を選択する最大の魅力です。
現状維持とは、怠けているのではなく、ホモ・サピエンスの脳と習慣が、協力して導き出している、極めて自然な選択であるという一面があります。
…やって後悔するほうがいいなんてことを言うのは「やってしまった後悔」の味を知らない、無責任な第三者の台詞だ…
…だけど、だけど…一番いいのは、やって後悔しないことだ…
『化物語』神原駿河の脳内言葉です。
♦去年を・昨日を・守って明日何になれる?
しかし「現状維持」という自然な選択は、私達の長期的な充実感や満足感を、保証するものではありません。
変化を避け続ける事で、私達は、いつの間にか、新しい機会や成長の可能性を、手放しているのです。
★あの時、やっておけばよかった
☆何であの時、挑戦しなかったんだろう
★動かずにいたら、いつの間にか、歳だけ取っていた
上記のような後悔が、時間を経て、複利となり、私達の脳や心に、圧し掛かってきます。
★今日は、疲れているからやめておこう
☆もう少し準備をしてから、始めよう
★今は経済状態が不安定だから、始める時じゃない
一見、冷静で合理的な選択をしているように見える、上記のような思考の背景には「無意識の逃げ」が、潜んでいる事が多いです。
心理学の世界では、避けたい行動を最もらしい理由で正当化する心の働きを「合理化」と呼びます。
本当は、不安や恐怖・自信の無さ等が理由で行動を避けているにも関わらず、それを認めたくないが為に「今は忙しい」「今はそのタイミングじゃない」等、自分の外側の理由を口にします。
これは、誰にでも起こり得る、自然な心理反応です。
「合理化」は、行動を避けている最中や、行動を避けた後に、働きやすいです。
行動を避けた自分自身を守る為に、やらなかった事を納得出来る形で、説明しようとします。
「合理化」は、短期的には、自分を守るうえで、有効です。
しかし、行動により得られる莫大な経験値や、出来たという結果を先延ばしにし続ける事は、長期的には、大きなデメリットとなります。
行動により得られる莫大な経験値や、出来たという結果を先延ばしにし続ける事は、結果的に「挑戦しなかった自分」を意識する事になり、翻って、自信や自尊心・自己肯定感等を、失う事に繋がります。
「お前自身も、後悔させるな。それが、お前の使命だ。」
『進撃の巨人』リヴァイの言葉です。
挑戦して失敗した後悔より、挑戦すらしなかった後悔の方が、後々まで尾を引く。
これは、多くの人が直感的に感じている事でもありますが、心理学的にも、裏付けられている事です。
この続きは、また後程。