「忠告だ、及川。もう道を間違えるな。お前は、道を間違った。もっと力を発揮できる場所があったのに、取るに足らないプライドの為に、お前はそれを選ばなかった。」
「それは、青城じゃなく、白鳥沢に入るべきだったって事でOK?成功が約束されたチームなんか、無いだろ。」
「少なくとも、今ここでは、俺の居る場所(チーム)が、最強の場所(チーム)だろうが?」
「ハッ!!!相変わらず、面白くないくらいの自信だな!」
「‥‥取るに足らないプライド‥確かにね。」
「聞けよ、牛島。俺は、自分の選択が間違いだと思った事は一度も無いし、俺のバレーは何一つ終わっていない。取るに足らないこのプライド、絶対に覚えておけよ。」
「‥?」
『ハイキュー』若利君と及川徹の会話です。
♦いかなる攻撃を受けても、炎と共に再生する
どのような人でも、必ず、逆境に遭遇します。
大切なのは、逆境を避ける事ではなく、逆境に遭遇しても、回復する事が出来る心の状態を獲得する事です。
それは、世界一人気があり、世界一お金が動くヨーロッパのフットボールの舞台においても、変わりありません。
18/19シーズン:ベスト16敗退
19/20シーズン:決勝敗退
20/21シーズン:準決勝敗退
21/22シーズン:ベスト16敗退
22/23シーズン:ベスト16敗退
23/24シーズン:準決勝敗退
今シーズン悲願のチャンピオンズリーグ優勝を果たしたパリ・サンジェルマンのチャンピンズ過去6年間の成績です。
私は、13/14シーズンからパリの試合を、最も観てきました。
その為、11年間チームが敗北する姿を、誰よりも観てきたという自負があります。
個人的なベストチームは、18/19シーズンのパリです。
…ズラタン、ディ・マリア、ブッフォン、ダニアウベス、ネイマール、エムバぺ、メッシ、ラモス…
他のクラブで、各国のリーグを制し、チャンピオンズも制し、チームを背負い、代表で、ワールドカップを制し、EUROを制し、国を背負った数々の伝説達をもってしても、届かなかったチャンピオンズ優勝。
伝説の選手を次々に獲得したパリの物語は、迷走だったのでしょうか?
私は、その物語があったからこそ、今シーズンのチャンピオンズ初優勝が、叶ったと考えています。
「今、空からちっちゃい隕石が降ってきて、それが頭に当たった奴居たら、そいつの事は可哀想がって、それ以外は要らない。敢えて可哀想という言葉を使うなら、可哀想と思われる事がカワイソウだ。」
「井闥山負けた。負けた。これで全国三大エース全員敗退だ…」
「あぁ~残念ですね。佐久早…。」
「うん。もっと見たかったねぇ。…ここに居る選手達の中に、誰一人として負けを経験しない者など居ない。たとえ、この大会の結果が優勝であったとしても、強者ほどより上の強者に打ちのめされる。挑む者だけに、勝敗という導と、その莫大な経験値を得る権利がある。」
「今日敗者の君たちよ。明日は何者になる?」
『ハイキュー』佐久早の言葉と観客席からの声、そして、後の雲雀田の言葉です。
マルセイユ、モナコ、バイエルンに3連敗を喫したパリには、ネガティブなニュースが流れています。
エムバぺとネイマールの不仲・モナコに大敗した後一早くロッカールームに戻ろうと言ったキャプテン・マルキーニョスに対し、モナコまで来てくれたファンに謝罪をするべきだと意見が対立した副キャプテン・キンペンべ・2か月前に世界一となり伝説となった男に対してバイエルン戦後「何故プレスをしないのだ。」と批判する地元紙・モナコ戦のハーフタイム、フロント陣がロッカールームに現れ選手に叱責する事によるフロントと現場との確執等。
私は、応援しているチームや選手が、負けたり、批判にさらされている姿が好きです。
その理由は、負けや批判から、どのように立ち上がるのかまでの物語を観る事で、生きる力が貰えるからです。
ピッチ上以上の関係を築く必要はありません。
意見が異なる事も当たり前です。
…ラモス・メッシ・ネイマール…
15年以上に渡り、負けや批判を、実力で跳ねのけてきた男達を観ているだけで、生きる力を貰う事が出来ます。
2023年2月の、私のブログです。
パリの物語が、伝わるのではないでしょうか?
歴史を振り返っても、最初に挑戦した人達は散っていき、次に挑戦していた人達がある程度形を築き、最後に挑戦した人達が歴史を完成させている事を、知る事が出来ます。
戦国:信長→秀吉→家康
幕末:吉田松陰→坂本龍馬→大久保利通
挑戦をし、敗北を重ねる中で、ある一時、勝利を得る事が出来るのです。
その挑戦が間違っていたとしても、挑戦をする事でしか、勝利を得る事は出来ません。
やる前には、誰にも、その挑戦の是非はわからないのですから‥。
パリをチャンピオンズ初優勝に導いたルイス・エンリケにも、物語があります。
2014-15シーズンにバルセロナの監督としてチャンピオンズ優勝した時、試合終了後に、娘のシャナちゃんが巨大なバルセロナの旗をピッチで掲げました。
しかし、シャナちゃんは、2019年に骨肉腫と診断され、その数カ月後、9歳の若さで亡くなってしまいました。
チャンピオンズ決勝インテルに勝利した試合終了後、パリのサポーターが、ルイス・エンリケに向けて亡き娘を追悼する横断幕を披露しました。
試合後、この出来事について聞かれたルイス・エンリケは「とても嬉しい。最後にファンが家族を称える旗を掲げてくれたのを見て、とても感動した」と喜びを口にします。
「でも、いつも娘のことは考えている。とても大きな意味がある。とても嬉しいけど、娘を思い出すためにチャンピオンズリーグに勝つ必要はない。娘はいつも一緒にいる。特に負けた時はね。家族と一緒にどんな時でも楽しみ、良い面を見つけようと努めている。たとえ辛い時でもね。」
敗北を一緒に経験するからこそ、私は、その選手とチームを好きになります。
ルイス・エンリケも、パリの監督になる以前は、スペイン代表で敗北を経験しています。
そういう時にこそ、娘は、いつも一緒にいるのです。
「‥ここまでの、俺の取るに足らないプライドは、どうだい?」
「‥見事だと思う。」
『ハイキュー』及川徹と若利君の会話です。