才能は開花させるもの。センスは磨くもの7

 

 ある小学生の話です。

 彼は、学校で「鳥と同じものを食べれば、人間も空を飛べるのではないか?」と仮説を立て、友達にミミズを食べさせました。

 また、自宅に帰れば「物が燃える理由を知りたい」という理由から、藁を燃やして納屋を全焼させてしまいました。

 人の言う事が聞けず、周囲の空気を読む事も出来ない彼を、大人達はトラブルメーカーと呼んでいました。

 

 その影響により「他の生徒の迷惑になる」という理由から、彼は小学校を3ヵ月で退学になってしまいます。

 父親も彼を見放し、担任の教師は「この子は、頭がおかしい」とまで言い放ちました。

 しかし、そのような状況においても、母親だけは彼を見放しませんでした。

 

 元教師であった母親は、息子の問題行動の背景には、異常な程の好奇心がある事を理解していたのです。

 そこで、母親は、自ら勉強を教え、自宅に彼専用の実験室まで作り、息子が好奇心の赴くままに、行動出来るように導きました。

 そのおかげで、彼は小学生の頃から、ヘリコプターを試作したり、新聞を作ったり、ヘリウムガスで空を飛ぶ実験をしたりと、好奇心の赴くまま、様々なチャレンジを繰り返しました。

 

 発明王、トーマス・エジソンの物語です。

 

 

 学校では役に立たなかった性格が、発明の世界では役に立ったエジソンのような物語は、他にも数多くあります。

 ビル・ゲイツは、幼少期に1人遊びにばかり熱中していた為、学校からは「学年を遅らせてはどうか?」と打診されています。

 チャールズ・ダーウィンも、子どもの時から昆虫採集ばかりしていた為、周囲から「ダーウィン家の恥」と呼ばれていました。

 

 ビル・ゲイツは、その後、1人遊びで得た集中力を活かして、Windowsを開発しています。

 ダーウィンは、昆虫採集の中で培った観察眼により、進化論を発表しています。

 エジソンも、ビルも、ダーウィンも、ある場面では問題視されていた能力が、別の場面では役に立ちました。

 

 

 あなたの才能は、時と場所により、コロコロ変わります。

 才能とは、グループ内の偏りが評価された状態とも言えます。

 また、その才能を見つけ、その才能の価値を見出してくれる大人の存在も不可欠です。

 

 日本社会は、協調性と外向性の高い人を、優秀な人と評価する傾向があります。

 特に、学校や会社員・公務員等において、この傾向は顕著です。

 協調性と外向性の高い人は、教師や上司からすると、扱いやすい存在だからです。

 

 しかし、協調性と外向性が高い人は、本当に優秀な人なのでしょうか?

 仮に、そのような人が優秀であるのなら、何故日本社会は現在のような成長が止まり、さらには閉塞感が漂う生きずらい社会になっているのでしょうか?

 この続きは、また後程。