…渡辺の腰は、地面に対して、平行ぎみに回転しやすく、制球も不安定になっていた…
…サイドスローにすれば、簡単に解決する。軸が安定し、制球を良くなる…
…もう一つの解決方法としてはーむしろ肩ごと傾けて、腰の回転も合わせて、安定させること…
…体力・筋力的に、ずっとハードになるが、上手くハマれば球速は伸びる!!…
「良い球だよ。本当に。頑張ったな、渡辺。」
『忘却バッテリー』智将・要圭の脳内言葉と言葉です。
♦逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ
ヨーロッパやアメリカの人と話していると、彼ら彼女らが「自分を知って貰う」為に、あまりにもオープンに「自己開示」をするので、驚いてしまいます。
これに対し、日本人は、天気の話をして・次に何の話をして‥というように順を追って話をする事ばかりに、気を取られている人が多い為「自己開示」をする事も少なくなります。
ヨーロッパやアメリカでは「社交的な会話」が出来る事が、大人の嗜みとされています。
政治・経済・歴史等、あらゆる事に対し、自分なりの意見を持ち、その事を話す事が「大人の嗜み」とされているのです。
ヨーロッパやアメリカ等の欧米の人達は、子どもの頃から、自分の意見を持ち、それを表現して「自己開示」をするという教育を受けて、育ちます。
これに対し、日本においては、そのような教育は、重視されていません。
決められたカリキュラムの中で面白くもない教師の話を座って1日何時間も聞き続け、テストや受験においても問われるのは暗記です。
このような日本の教育の中で育った日本人が、自分の頭で考えて、自分の意見を持ち、それを表現する事が苦手な事は、当然なのかもしれません。
…コイツの腰の回転ってワードがなかったら、フォームの改良に行き着かなかった…
…もしかして、要圭は、僕の才能を斬り捨てたわけじゃなくて、工夫したら何とかなるって言いたかったんじゃー…
…ってそんなワケあるか!!あの要圭だぞ!!許さん!!絶対許さんぞ!!…
…僕は、要圭に勝つ…
『忘却バッテリー』渡辺の言葉です。
♦君には何が見える?敵は誰だと思う?
日本では、丸暗記の受験勉強を経て、大学に進学し、大学を卒業したら、新卒で会社に就職するのが、一般的です。
少しずつ異なる道を進む若者も出てきましたが、それは少数派であり、現在においても、上記のルートが一般的である事に、変わりはありません。
会社に入れば、新人社員は、謎の新人社員研修を全員で一緒に受けて、人事部等が、適正を判断して、各部署に配属するというシステムが、確立されています。
この人事部の適正な判断というのも疑わしく、ただの主観のみで決まっている事が、多いのが現実です。
ただ、会社に入れば、新人社員は、自分で考え、それを表現し「自己開示」をするという事をする事なく、勝手に会社が働く為の道を用意してくれます。
また、会社もいまだに日本企業の多くは、自分で考え、それを表現し「自己開示」をしていく新人社員等、求めておらず、従順に文句を言わずに、働く協調性と外向性の高い新人を求めています。
★自分が、何をしたいのか?
☆自分は、どうなりたいのか?
★自分の、何を武器にするのか?
いずれにしても、日本社会では、上記のような事を考えずとも、社会人として働く事が出来る仕組みが出来上がっているのです。
…渡辺、こんなストレート投げられたのか、お前…
…ここで、更に点が欲しいな。この先の配球(リード)も心配だ…
…ストレート。全力で…
…投手(ピッチャー)の気持ちのこもった球なんて、そんな抽象的なもの信じたこともなかったがー‥あるんだな…
『忘却バッテリー』金城と智将・要圭の脳内言葉、そして、金城のサインと脳内言葉です。
♦何も捨てることが出来ない人には、何も変えることはできないだろう
自分の選択肢が社会的に用意されているというのは、楽であり便利です。
しかし、個人としての意見が持ちづらく・表現しづらく、個人としての意見を持つ必要がない社会が生み出されます。
現在は、AIにおいて様々な仕事が代替されていく時代です。
そのような時代に生き残っていく為に必要となるのは、個人・1人の人としての意見です。
AIは、正解を教えてくれるものの、意見はないからです。
その点、個人としての意見が持ちづらく・表現しづらく、個人としての意見を持つ必要がない社会の中で生きる日本人は、これからの未来、生き残っていく事は、さらに難しくなっていくと、私は、考えています。
日本が小さな村社会の集合体で成立していた時代であれば「今日は寒いですね」という天気の話にも、それなりの意味がありました。
寒い日に、屋外で働き過ぎると身体を壊す事にも繋がる為「今日は寒いですね」という言葉の背景には、思いやり・気遣いの意味があるからです。
しかし、時代は、大きく変わっています。
人口減少が続き、経済も下降の一途を辿る日本で暮らす日本人が生きていく為には、これまでの村社会の延長では生き残っていけません。
多種多様な価値観を持つ人達と、良好な人間関係を構築し、お互いに信頼関係を高めていく必要があります。
その為の、最初のステップが、雑談を通して「自己開示」をしていく事です。