「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。」
「それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ。」
『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。
二十四節季において、10月23日~11月7日までを「霜降(そうこう)」と呼びます。
「霜降」とは、秋が深まり、露が冷気により冷やされて凍る事から、霜が降り始める時期という意味が込められています。
昨年とは異なり、今年の東京は、今週から急に冷え込みました。
先週までは半袖ないと過ごす事が出来ない30℃近い暑さだった事を考慮すると、日本は年々四季ではなく、二季になっている事を実感します。
また「霜降」を「霜降(しもふり)」と異なる表現をすると「霜降」にも様々な意味があります。
☆霜の降りかかったように、細かく白い斑点のある模様
★上等の牛肉で、白い脂肪が不規則な網の目のように入り込んでいる部分
☆花柳界における、魚の茶漬け
…薄汚れた霜降の背広の、洋袴(パンツ)の膝も疾(とう)に切れて毛が無いのに…
二葉亭四迷『其面影』の一説です。
「一生懸命二人で頑張ってネタ作ってきたのが認められた、信じてたM-1が答えてくれた。」
霜降り明星・粗品の言葉です。
「霜降」の旬の食材は、①鮭②薩摩芋(さつまいも)③なめこです。
①「霜降」の時期に旬の食材を迎える食材の中でも、代表的なものが鮭です。
「霜降」の時期の鮭は「秋味」と表現され、北海道から東北地方で獲れる「白鮭」の中でも、産卵の時期である秋にだけ故郷の川に戻って来るという特徴があります。

鮭に含まれる「DHA」「EPA」には、脳細胞を活性化し、記憶力を向上させる効果が期待出来ます。
「DHA」は、脳や網膜に含まれており、積極的に摂取する事で、脳内の神経細胞を活性化し、情報伝達をスムーズにしてくれる栄養素です。
「EPA」は、脳を含めた血液を改善し、脳機能の活性化を促進してくれる栄養素です。
さらに、鮭に含まれる「ビタミンD」は、脳内の神経細胞を保護したり、コントロールしたりする為に欠かせない栄養素です。
その為「ビタミンD」を積極的に摂取する事は、認知症予防に繋がるという研究結果が、複数出ています。
2014年アメリカ神経学会が発表した研究では「ビタミンD」が不足すると、認知症の発症リスクが53%増加するという結論を出しています。
②ほくほくの焼き芋は、肌寒い季節には、無性に食べたくなる食べ物の1つです。
薩摩芋の収穫時期は8月頃より始まりますが、薩摩芋は、2~3ヵ月貯蔵した方が、余分な水分を逃し、甘みが増す為、この時期が旬となります。
日本に薩摩芋を普及させた人物は、誰か御存知ですか?
答えは、江戸幕府8代将軍・徳川吉宗です。
吉宗は、1732年(享保17年)の「享保の大飢饉」をきっかけに薩摩芋の栽培を奨励し、飢饉対策として普及させました。
儒学者の「青木昆陽(かんしょせんせい)」を登用し、小石川薬草園での試作に成功します。
その後、薩摩芋の栽培を関東一円に広げた事で、後世の飢饉の際に多くの命を救う事になりました。
薩摩芋は、痩せた土地でも栽培出来る上、貯蔵性も高いため、飢饉の際の救荒作物として全国に広まっていきました。
薩摩芋には、100gあたり「不溶性食物繊維」が1,8g「水溶性食物繊維」が0,9g含まれています。
「不溶性食物繊維」は、腸の中で、水分を吸いこんで膨らみ、腸を刺激する事で、便通を促します。
その為「不溶性食物繊維」を多く含む食材を食べる事は、便秘の解消に役立ちます。
「水溶性食物繊維」は、腸内環境を整える・血糖値の急激な上昇を抑える・コレステロールの吸収を抑制する等の効果が期待出来ます。
「食物繊維」は、噛み応えがある為、満腹感を感じやすい上に、低カロリーな為、肥満予防にも効果があります。
③あまり知られていませんが、天然のなめこは、10月が旬です。
なめこは、1年中出回っている為、知らない人が殆どですが、実は、秋が最も美味しい時期です。
☆古代・江戸時代前:日本の山野に自生しており、天然のものを食用としていた
なめこと日本人の歴史です。
なめこに多く含まれる「ビタミンB群」は、脂質代謝やエネルギー代謝に関わる栄養素です。
なめこには「ビタミンB2」「葉酸」「ナイアシン」等が、豊富に含まれています。
「ビタミンB2」が不足すると肌荒れを起こしやすくなります。
「ビタミンB2」は、皮膚や髪・爪の健康維持に、必要な栄養素です。
不足すると、肌のバリア機能が低下する為、若々しくいる為には「ビタミンB2」の積極的な摂取は欠かせません。
食事が、美味しくなる重要な要素は、2つです。
1つは、空腹である事。
もう1つは、旬の食材を味わう事。
旬の食材を味わい、心と身体に栄養を補給して、今日も人生を乗り切っていきましょう。