「老いることも、死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ、堪らなく愛おしく尊いのだ。強さというのものは、肉体に対してのみ使う言葉ではない。この少年は弱くない。侮辱するな。」
「何度でも言おう。君と俺とでは価値基準が違う。俺は如何なる理由があろうとも、鬼にならない。」
『鬼滅の刃』煉獄杏寿郎の言葉です。
アウシュヴィッツは、ナチスの収容所の中でも、最も残虐な場所であった事が知れられています。
そこで生じていた出来事は、虐待や拷問、飢えやガス室による死等、私達の想像を超えるものでした。
ユダヤ系の精神分析医ヴィクトール・フランクルは、アウシュヴィッツでの恐怖の数年間を生き延びました。
目を背けたくなるような詳細が著書『夜と霧』に描かれています。
アウシュヴィッツにおいて最も長く生き延びた人々は、肉体的に健康な人ではなく、人生の価値を見出していた人々でした。
家族への愛情や、やりたい仕事、挑戦したい事等がある等、人生に価値を見出していた人々は、あらゆる苦痛に耐え忍ぶ事が出来たのです。
フランクル自身は、愛する妻に深い価値を見出しており、生き延びていつの日か再び彼女に会うのだという強い意思を持っていました。
しばしば彼は、雪の中の厳しい仕事の中で、凍傷からくる足の苦痛と、ひどく殴打された事による身体の痛みに苦しみながら、妻の姿を心に思い浮かべ、彼女をどれだけ愛しているかを思い出していました。
フランクルのもう1つの価値は、他者を助ける事でした。
彼は、他の囚人が苦痛にうなだれている中、声掛けや身辺の世話を続けました。
特筆すべきは、人々が心の奥深くにある人生の価値に繋がる事を助け、人生の意義や目的を見つけられるように支援をした事です。
価値は、私達が目指す方向であり、終わりのない進化のプロセスです。
先人が重ねてきた価値の形が集約されたものが、現在の世界であると捉える事も出来ます。
たとえば、愛に満ちたパートナーになる事は、価値の1つです。
これに対し、目標は望んでいる成果の事です。
たとえば、結婚する事は1つの目標ですが、達成されればそれで終了です。
結婚してしまえば、愛情深く優しかろうと、冷たくぶっきらぼうであろうと、あなたは既婚者です。
価値とは、南を目指して旅するようなものです。
どこまで行こうと、南はさらに向こうまで広がっています。
一方、目標は山や川のようなものです。
そこに行ってしまえば、それで目標達成です。
目標を持つ事は、大切です。
目標がなければ、成長する事は出来ません。
しかし、目標だけでは、あなたの人生は、どこかのタイミングで行き止まりになってしまいます。
目標達成に挑む中で、自分の人生の価値を見出していく事で、あなたは人生という深い闇の中でも、自身の足で歩く事が出来ます。