…俺の家は、バレー一家で、両親も兄も姉も名門校出身。俺も当然の様にバレーを始めて、セカイで活躍する選手になると思ってた…
…体格には恵まれてたし、器用だったから、楽しくやれてた。中学は、迷わず県一の強豪…
…うまくなりたい。スパイク決めたい。サービスエース決めたい。ナイスレシーブ決めたい…
…バレーは、全部繋がっている。俺のミスは、仲間のミス。ミスするな。ミスするな。負けたくない。負けたくない…
「ハァ~俺マジ才能無い…。」
「今日は、たまたま調子悪かっただけだろ。」
「暁くん、最近調子よくないもんな~。」
「スランプって言ってた。」
…スランプって何の言い訳?結果が出ない理由は、一つだよ。努力が足りなかったからだよ。どこかで手を抜いたからだよ。諦めたからだよ…
…苦手だ。全然悪い奴らじゃないのに。仲間が苦手なんてオカシイことだ。それに、他人を責めるなんて弱い奴のすること。俺がちゃんとやればいい。俺が強くなればいい。俺が…
「…ごめん。」
「?何が?」
「最後ブロックできなかった。」
「アレは決められても仕方ないやつだろ。」
…せめてコースは絞れたろ。そもそも、もっと俺が点を取れる場面があった…
…バレーは、全部繋がっている。自分のミスにイライラする。繋がるミスにもイライラする。この手がだめだ。ミスをするこの手がわるい…
「何やってんだ、オマエェーッ」
「…俺、もしかすると…つーか多分、バレーあんま好きじゃないや。」
「…じゃあ、やめればいいんじゃね?別に死なねえ。やめたからって、オマエが身につけた強靭な筋肉は、簡単には無くならない。」
「筋肉…?」
「お前今、バレーは腹いっぱいなのかもな。あんだけガッツリやってりゃな。」
…腹いっぱい…
『ハイキュー』昼神の回想です。
人生が変わるのは、前に進みたいと思いながらも、今いる場所でも満足する事が出来る時です。
人生が変わるのは、望み通りの外見でなくても、自分を愛せる時です。
人生が変わるのは、望み通りの仕事をしていなくても、その仕事の中に意義を見出せた時です。
人生が変わるのは、これまでの人間関係を刷新してでも、人間関係やお金、愛に信念を持った時です。
人生の問題の殆どは、私達がいるのは「今」であり「ここ」であるにも関わらず、今という瞬間に心を落ち着ける事が出来ない事から生じます。
きっと、あなたも、私も、死ぬまで最高の自分にはなれないでしょう。
お金の問題が片付いたら、今度は身体の悩みがやってきます。
身体の悩みが片付いたら、次は人間関係の悩みがやってきます。
気になるものが全て片付いても、また振り出しに戻ります。
永遠になれないかもしれない最高の自分でなくても、自分を認め、自分の人生を楽しめるようになる事。
これが、人生を幸せに生きる世界観です。
「なんか、しんどいなーって時に、光来君にやめればって言われて、なるほど~ってなってさ。」
…やめれば?なるほどって?…
「まあ実際やめるってなったら、また色々あるだろうけど、いつでもやめるって思ったら、急に視界が開けたんだよね。もうちょっとやってみよっかなって思って、何かまだやってる。」
…自分は、バレーを好きであるべきと思っていた。兄や姉のように、人生の真ん中にバレーがあってしかるべきと。でも、俺は高校(ここ)から先へは進めない。兄弟や光来君の様にはなれない。俺に強みがあるとするなら、ここにいる皆ほど、バレーも仲間も好きじゃないこと。」
『ハイキュー』昼神の言葉と脳内言葉です。