「誰もが魔法を使える時代は、フランメの夢だった。」
「あの子もきっと初めは、人類のためとか、魔王軍に抗う力とか、そんなものはどうでも良かったんだ。」
「あの子のお気に入りの魔法を知っているか?」
「花畑を出す魔法。なんの役にも立たない、くだらない魔法だ。」
「あの子は、本当に魔法が好きだったんだ。世界中の人が、そんな魔法を使えるようになって欲しいと、本気で願っていた。」
「虫唾が走ったよ。まるで、女の子みたいな可愛い夢だ。でも実際に、そうだったんだよ。」
『葬送のフリーレン』ゼーリエの言葉です。
「人類の祖先は、木の上で暮らしていた。その頃は、四つ足で歩いていたが、木から下りて草原で暮らすようになると、立ち上がって二本足で歩くようになった。こうして、我々人類は進化してきた。」
あなたも、このような話を、1度は聞いた事があるのではないでしょうか?
最新の研究では、この話は間違っているという結論が出ています。
間違っている理由は、人類が直立二足歩行をする事になった理由が、木の上から草原に下りた事であるとしている事です。
果たして、本当に直立二足歩行をする事が、草原で暮らしていく事に有利なのでしょうか?
…シマウマ、ゾウ、ガゼル…
草原には、たくさんの種類の動物が暮らしています。
ただ、草原で暮らしている動物に、直立二足歩行をしている動物は、1種類も存在しません。
キリンは、高い所の葉を食べる事が生存に有利であり、首の長い個体が種を繋いできて、長い年月を経て、現在の姿になっています。
首が長ければ、高い所の葉を食べる事が出来るとともに、遠くの敵を見つけるのにも役立ちます。
ただ、それなら二本足で立ち上がった方が、楽ではないでしょうか?
首を長くするよりも、立ち上がる方が、簡単です。
それでも、キリンは、立ち上がりませんでした。
さらに、人類と近い存在である草原で暮らしているサルの仲間にも、直立二足歩行をしている種類のサルはいません。
草原で暮らしていくには、二本足よりも、四本足の方が、有利なのです。
このように考えれば「木の上から草原に下りたので、直立二足歩行が進化した」という事が、迷信である事は、すぐに理解出来ます。
しかし、ほんの10数年前までは、上記のような迷信が、人類史である事を、誰も疑いませんでした。
他人の事はわかっても、自分の事はわからないもの。
これまで語られてきた人類史には、迷信が多いです。
否、現在語られている人類史も迷信かもしれません。正直に答えれば、人類史の殆どは、いまだにわからない事ばかりなのです。
「これは、あの子が私よりもずっと背の小さな小娘だった頃に語った夢物語だ。」
「正直私は、そんな時代はずっと先のことで、あの子には実現不可能なことだと思っていた。」
「あの子は、私にとって無にも等しいような短い人生で、人類の魔法の開祖にまで上り詰めた。」
「師匠(せんせい)は、いつも判断が早かった。まるで何かに、急かされているみたいに。」
「人間には、寿命がある。私達よりも、死に近い場所にいるんだ。人生には、重大な決断をしなければならないときがいくつもあるが、あの子達はそれを先送りにできないんだ。」
『葬送のフリーレン』ゼーリエのフリーレンの会話です。
よく見る人間の進化の過程を表したイラストです。
私自身、小学校・中学校の歴史の教科書に、記載されていた記憶があります。
実は、このイラスト、2つの間違いがあります。
①人類にはたくさんの種類がいて、一直線に進化したわけではない
②進化により必ずしも身体が発達するわけではない
①人類にはたくさんの種類がいて、一直線に進化したわけではない
かつて、人類は、猿人→原人→旧人→新人という4段階で進化したとされてきましたが、現在は否定されています。
現在までに発見された化石から、人類は、少なくとも過去25種類以上の人類がいた事が、わかっています。
そして、それぞれの人類が、順繰りに存在していたわけではありません。
★パラントロプス・ロブストゥス
☆パラントロプス・ボイセイ
★ホモ・ハビリス
☆ホモ・エレクトゥス
180万年前の地球には、上記の4種類の人類が、同時に存在していました。
他の時代にも複数の人類は存在し、最後に生き残った人類が、私達ホモ・サピエンスなのです。
現在、私達ヒトと最も近縁な種は、チンパンジーとボノボですが、ヒトとチンパンジー・ボノボでは、見た目も知能も生活スタイルも大きく異なります。
チンパンジーやボノボよりも近縁な種が25種類以上も存在していましたが、それらの人類は、全て絶滅してしまいました。
②進化により必ずしも身体が発達するわけではない
進化は「発達」だけでは進みません。
進化には「発達」と「退化」の両輪が必要なのです。
この続きは、また後程。