「俺のような辛気臭い男がいていいのか?」
大河ドラマ『べらぼう』恋川春町の言葉です。
♦豆腐の角に、頭をぶつけて死んだ男の物語
あなたの『べらぼう』の推しは、誰ですか?
私は、源内先生が1番であり、2番は恋川春町でした。
その春町も、死んでしまいました。
大河ドラマが、史実を基にした物語である為、歴史上の人物が、歴史上の出来事の中で死ぬ事は、頭では理解出来ますが、心では納得できない自分がいます。
若しかしたら、これが大河ドラマの醍醐味なのかもしれません。
本来は挿絵絵師としてデビューし、高度な浮世絵の技術を持っていたとされています。

春町は、駿河国小島藩の武士として、留守居添役・側用人などを歴任し、藩政の中枢を担うまで出世しました。
1789年:寛政の改革
松平定信が行った寛政の改革は、社会秩序の回復を目的とした改革でした。
これまでの田沼の行ってきた重商主義から一転し、質素倹約・農村復興・風紀の引き締めを柱とした改革です。
この改革は、江戸の文化、そして、春町にも、大きな影響を与えます。
江戸の庶民は、武士を比喩する『鸚鵡返文武二道』に、魅了されます。
しかし、春町が創作した『鸚鵡返文武二道』は、江戸幕府の政策を批判する内容であると問題視されます。
春町は、幕府から呼び出しを受け、病と称して応じませんでした。
その中で、春町は、小島藩が江戸幕府から、取り潰しに遭う事を危惧します。
藩に迷惑を掛ける事を避ける為に、春町は、切腹をします。
「戯作者だから。真面目な、クソ真面目な男だったじゃない……。」
「ふざけるのも真面目でさ。恋川春町は最後まで戯けねえっとって考えたんじゃねえかな。」
『べらぼう』朋誠堂喜三二の言葉です。
『べらぼう』において、春町は、切腹をした後、豆腐に頭を突っ込みます。
ー豆腐の角に、頭ぶつけて死んだー
劇作者である春町は、自身の死をもっても、世を笑わせようとしたのです。
自分の感情についての解釈を変える事で、ネガティブな感情を軽減する「リアプレイザル」という方法があります。
「リアプレイザル」は、英語で書くとre=再度・appraisal=評価という意味になります。
現在感じている感情を再評価し、新たな意味づけをする「認知的再評価」を意味します。
「リアプレイザル」には、ネガティブな体験をポジティブに捉え直す事で、ネガティブな感情(恐怖・不安・悲しみ・怒り等)の処理と、記憶において重要な働きを果たす偏桃体の活動を低下させる事も、示唆されています。
ハーバード大学において、300人の被験者を対象に「採点付きカラオケ」「人前でのスピーチ」「数学のテスト」といったテストをするという実験が行われました。
その際に、下記の①~⑤を声に出してから、テストをするグループに分けました。
①「私は、不安だ」
②「私は、ワクワクしている」
③「私は、落ち着いている」
④「私は、怒っている」
⑤「私は、悲しい」
①~⑤のどの声を出したグループが、最も成績が良かったでしょうか?
②「私は、ワクワクしている」と声に出したグループが、最も成績が良かったのです。
②のグループは、カラオケでは正確性が上がり、スピーチでは説得力・能力・自信等の評価が上がり、数学のテストでは1番の好成績を残しました。
自分のストレス反応を、楽しくなってきたとポジティブに解釈した事で、17~22%程、成績が良くなるという結果が出ました。
「倉橋(春町の本名)としては、腹を切って詫びるべし。」
「恋川春町としては、死して尚、世を笑わすべし。」
『べらぼう』蔦重の言葉です。
