超江戸時代恋川春町ー二千年後の君へ31

 

 

 「俺のような辛気臭い男がいていいのか?」

 

大河『べらぼう』殻をぶち破った恋川春町、史実では幕府をも皮肉りついに出頭命令…そして悲しき最期【後編】 | エンターテイメント 歴史・文化 -  Japaaan

 

  大河ドラマ『べらぼう』恋川春町の言葉です。

 

 

 

  ♦豆腐の角に、頭をぶつけて死んだ男の物語

 

 あなたの『べらぼう』の推しは、誰ですか?

 私は、源内先生が1番であり、2番は恋川春町でした。

 その春町も、死んでしまいました。

 

 大河ドラマが、史実を基にした物語である為、歴史上の人物が、歴史上の出来事の中で死ぬ事は、頭では理解出来ますが、心では納得できない自分がいます。

 若しかしたら、これが大河ドラマの醍醐味なのかもしれません。

 

 
 
 
 恋川春町は、武士の身分でありながら戯作者・浮世絵師・狂歌師として活躍した人物です。
 
 特に大人向けの絵本である黄表紙(きびょうし)の創始者の一人として、江戸の出版文化に大きな足跡を残しました。
 
 春町の業績には、①黄表紙ジャンルの確立②朋誠堂喜三二との親友関係、そして③武士としての出世と創作活動の板挟みの末の死などがあります。
 
 
 
 
 
 「サボを殺したのは、この国だ!!世界だ!!!お前なんかに、何ができる!!!」
 
588話 サボの海 (ルフィの兄弟-7) - ワンピースまんがぱうち ...
 
 
 「お前の親父は、死んで時代を変えた!!!それくらいの男になってから、死ぬも生きるも好きにしやがれ!!!!」
 
 
  『ONEPIECE』ダダンの言葉です。
 
 
 
 
 
 
  ①黄表紙の創始と確立
 

  1775年に出版された金々先生栄花夢は、黄表紙と呼ばれるジャンルの最初の作品とされています。

  当時広く親しまれていた青本、黒本といった子供向けの絵草紙とは異なり、大人向けの洒落た絵入り小説として定着させました。
  
  ※黄表紙:絵を主として会話・簡単な説明で、物語を運ぶ滑稽噺
 
 
 
  ②朋誠堂喜三二との親友関係

 

  本来は挿絵絵師としてデビューし、高度な浮世絵の技術を持っていたとされています。

  親友である朋誠堂喜三二の著作に多くの挿絵を描き、黄表紙の成功に貢献しました。
 
堅物の恋川春町すら動かした、蔦重の魔法の言葉【べらぼう】 | Lmaga.jp
 
 
  ③武士としての出世と創作活動の板挟みの末の死
 

  春町は、駿河国小島藩の武士として、留守居添役・側用人などを歴任し、藩政の中枢を担うまで出世しました。

  しかし、武士としての仕事が多忙になるにつれて、創作活動は中断されることもありました。
 
  また、「酒上不埒(さけのうえのふらち)」の号で狂歌を詠み、天明期における文人武士グループの主要メンバーでもありました。
 
 
 
 『鸚鵡返文武二道(おうむがえしぶんぶのふたみち)』の出版と幕府からの呼び出し
 
 

  1789年:寛政の改革

 

 松平定信が行った寛政の改革は、社会秩序の回復を目的とした改革でした。

 これまでの田沼の行ってきた重商主義から一転し、質素倹約・農村復興・風紀の引き締めを柱とした改革です。

 この改革は、江戸の文化、そして、春町にも、大きな影響を与えます。

 

 江戸の庶民は、武士を比喩する『鸚鵡返文武二道』に、魅了されます。

 しかし、春町が創作した『鸚鵡返文武二道』は、江戸幕府の政策を批判する内容であると問題視されます。

 春町は、幕府から呼び出しを受け、病と称して応じませんでした。

 

 その中で、春町は、小島藩が江戸幕府から、取り潰しに遭う事を危惧します。

 藩に迷惑を掛ける事を避ける為に、春町は、切腹をします。

 

大河ドラマ べらぼう】恋川春町役・岡山天音さんインタビュー ...

 

 

 「戯作者だから。真面目な、クソ真面目な男だったじゃない……。」

 「ふざけるのも真面目でさ。恋川春町は最後まで戯けねえっとって考えたんじゃねえかな。」

 

  『べらぼう』朋誠堂喜三二の言葉です。

 

べらぼう>まさか? 豆腐の角に頭ぶつけて! 春町先生“衝撃的最期”に反響の声続々 「最後まで戯けた男」との別れに視聴者涙(MANTANWEB) -  Yahoo!ニュース

 

 

 『べらぼう』において、春町は、切腹をした後、豆腐に頭を突っ込みます。

 ー豆腐の角に、頭ぶつけて死んだー

 

 劇作者である春町は、自身の死をもっても、世を笑わせようとしたのです。

 

 

 

 自分の感情についての解釈を変える事で、ネガティブな感情を軽減する「リアプレイザル」という方法があります。

 「リアプレイザル」は、英語で書くとre=再度・appraisal=評価という意味になります。

 

 現在感じている感情を再評価し、新たな意味づけをする「認知的再評価」を意味します。

 「リアプレイザル」には、ネガティブな体験をポジティブに捉え直す事で、ネガティブな感情(恐怖・不安・悲しみ・怒り等)の処理と、記憶において重要な働きを果たす偏桃体の活動を低下させる事も、示唆されています。

 

 ハーバード大学において、300人の被験者を対象に「採点付きカラオケ」「人前でのスピーチ」「数学のテスト」といったテストをするという実験が行われました。

 その際に、下記の①~⑤を声に出してから、テストをするグループに分けました。

 

  ①「私は、不安だ」

  ②「私は、ワクワクしている」

  ③「私は、落ち着いている」

  ④「私は、怒っている」

  ⑤「私は、悲しい」

 

 ①~⑤のどの声を出したグループが、最も成績が良かったでしょうか?

 ②「私は、ワクワクしている」と声に出したグループが、最も成績が良かったのです。

 

 ②のグループは、カラオケでは正確性が上がり、スピーチでは説得力・能力・自信等の評価が上がり、数学のテストでは1番の好成績を残しました。

 自分のストレス反応を、楽しくなってきたとポジティブに解釈した事で、17~22%程、成績が良くなるという結果が出ました。

 

 

 

 「倉橋(春町の本名)としては、腹を切って詫びるべし。」

 「恋川春町としては、死して尚、世を笑わすべし。」

 

  『べらぼう』蔦重の言葉です。