「儂は、街道や港は、城の普請(ふしん)の後で良いのではないかと言った。」
「しかし、源内は、まず民が使うものを先に整えるべき、何より民が富む仕掛けを作る。さすれば、自ずと田沼は富むと。」
「この相良は、儂と源内が、思い描いた通りの国になった。」
大河ドラマ『べらぼう』田沼意次の物語です。
♦足軽の家に生まれた男が、江戸幕府で最も権力を握る存在に、登り詰める
田沼意次は、足軽の家に、生まれました。
足軽とは、武家であるものの、普段は雑務のような仕事をこなし、戦時には兵卒となって戦う身分の者です。
戦時には、兵卒として戦うとっても、足軽は、歩兵として戦う役割です。
江戸時代においては、武士の中で、最も身分の低い階級とされていました。
★600石
☆57,000石
意次が生まれた家の所領は、600石でした。
「石(ごく)」とは、1年間の米の生産高を表す単位です。
☆1石=300,000円(30万円)
現在の貨幣価値において表すと、1石=30万円となります。
その為、600石=180,000,000円(1億8千万円)となります。
1億8千万円というと高額な気がしますが、街を治める自治体として考えると、この金額は極めて低いものになります。
★22,800,000,000(228億円)
意次が所領を与えられた静岡県牧之原市(旧相良町)の、令和5年の歳入です。
現在人口40,000人(4万人)の牧之原市と比較しても、意次の石高が、低かった事が、理解出来ます。
余談ですが、牧之原市の歳出が218億円である為、牧之原市は1年で10億円もの利益を出している事になります。
「わたしは、牧之原翔子です。牧之原サービスエリアの牧之原に、大空を翔ける子の翔子。少年の名前は?」
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見る』牧之原翔子の言葉です。
♦9代将軍・10代将軍に重用され続ける
意次は、郡上一揆を治める等の功績により、40歳の時に、江戸幕府において「側用人」という役職に就きます。
「側用人」とは、幕府政治の裏の顔である将軍の相談役という立場です。
大河ドラマ等において、将軍と2人で話す姿等をよく見かけますが、これが「側用人」の仕事です。
1760年:9代将軍徳川家重引退
意次を重用した家重が、引退する事で、意次の出世街道は、閉ざされると思われました。
しかし、意次を重用した9代将軍家重が引退をした後も、意次は、10代将軍徳川家治にも、重用されます。
…意次は、またうどである。意次を召しつかうように…
その理由は、家重が遺言において、上記の内容を記していた為です。
「またうど」とは、正直者という意味です。
では、意次の行った経済政策とは、どのようなものなのでしょうか?
「ちゃんと認めてあげないと駄目ですよ。咲太君の中にある、未来を拒んだ弱い自分を。」
「その弱さを信じることが、今を、未来だと認める第一歩なんです。」
『青春ブタ野郎は、バニーガール先輩の夢を見ない』牧之原翔子の言葉です。
♦意次の政治が続けば、明治維新はもっと早く訪れた
①貨幣制度改革
②株仲間の創設
意次の実施した経済政策は、上記の2つになります。
①貨幣制度改革においては、意次は「小判1枚は、銀貨8枚と交換出来る」という貨幣のルールを定めます。
これは、現在に置き換えると、小判=お札・銀貨=硬化と捉える事が出来ます。
この背景には、当時の複雑で曖昧な貨幣ルールがありました。
☆江戸→金
★大阪→銀
当時は、江戸と大阪では、取り扱う貨幣が、異なっていたのです。
その為、江戸と大阪で商いをする場合には、両替商を介さなければ、商売が出来ないというシステムになっていました。
意次は、これが、商いの妨げになっていると考えました。
その為「小判1枚は、銀貨8枚と交換出来る」という全国共通の貨幣のルールを定める事で、両替商を介さずとも、商いが出来るシステムを作り、商いの活性化を図りました。
②株仲間の創設は、ある分野の独占権を与える代わりに、税金を治めさせる制度です。
☆運上=税金
★冥加=上納金
意次は、独占権と等価交換という形で、江戸幕府にお金を入れるシステムを、株仲間により、創設したのです。
意次は、これまでの「重農主義」から「重商主義」に、経済政策を大きく転換させようとしました。
これまでの「重農主義」では、米の価格が傾くと、江戸幕府の財政もすぐに傾きました。
その為、米以外の収入を作り出す事で、米だけに左右されない江戸幕府の財政を、作ろうとしたのです。
「咲太君、人ってどうして、色々な出来事を忘れるんだと思いますか?」
「きっと、辛い記憶が永遠に続くことに耐えられないから、人は、忘れるんです。」
『青春ブタ野郎は、バニーガール先輩の夢を見ない』牧之原翔子の言葉です。
しかし、意次の経済政策は、当時の人々に理解されませんでした。
これに加え、江戸幕府の中で、出世街道をひた走り、権力を握る意次に、譜代大名達の怒り・恨み・妬みが、溜まっていきます。
そのような中で、あの事件が、起こります。
この続きは、また後程。