VS最大多数の最大幸福

 「あぁ素晴らしき世界に今日も乾杯 街に飛び交う笑い声も 見て見ぬフリしてるだけの作りもんさ 気が触れそうだ」

 YOASOBIが歌う『怪物』は、『BEASTARS』の世界観、否、レゴシの葛藤を見事に描いています。

 『BEASTARES』は、擬人化された肉食動物と草食動物が生活・共存をする世界を舞台に描かれた作品です。

 肉食動物の方が権力を握っているのかと思いきや、権力を握り、世論を作っているのは草食動物です。肉食動物は、草食動物に恐れられ嫌われることを避けながら、生活をしており、肉を食べることも禁じられています。その世界で葛藤する主人公のハイイロオオカミ、レゴシの姿に皆心奪われます。

 『東京喰種トーキョーグール』では、人と喰種。

 『ONEPIECE』では、人と魚人。

 どれも個人の能力では、肉食動物や喰種、魚人の方が強いにも関わらず、数の多さと差別意識により、虐げられていきます。

 これは、黒人問題にも、通ずる所があります。

 現代の日本では、このようなすぐ目に見える形での差別は少ないですが、目に見えない差別意識や、こうあるべきという価値観の強要は存在しています。むしろ、目に見えず、本人に悪意がない分、対策を取りずらく、こちらの方が面倒かもしれません。

 「就職をしなければならない。」「結婚をしなければならない。」「子どもを産まなければならない。」

 これらの意見には、悪意がないことが多いです。デリカシーが足りないだけです。

 ざっくばらんやおおらかという言葉で、自分を肯定していく人達とは、戦うだけで疲弊してしまいます。

 「最大多数の最大幸福が正しいのか?」

 最近、私の頭の中で、よく考えを巡らせている課題です。