ーー鳴っている。
今日もまた、電話が鳴っている。
ケアプランを書いていると鳴る。
訪問から戻ると鳴る。
昼休みにも鳴る。
帰ろうとすると、また鳴る。
誰かの不安。誰かの怒り。誰かの困りごと。誰かの都合。
その全てが、1つの番号に集まってくるーー。
♦電話が鳴り続ける職場に、人は定着しない
私は、ケアマネの有効求人倍率が10倍になっている理由の1つに「鳴り続ける電話」が原因にあると分析しています。
電話とは、相手の時間の同意を取らずに強制的に割り込む通信手段です。
☆メール→自分の都合で読める
★チャット→自分の空いた時間で返信
☆手紙→自分の好きな時間に読める
電話だけは「今出ろ」です。
別の表現をすると「相手の仕事時間への強制割込み」です。
電話とは時間への侵入であり、合法的な業務中断装置とも表現出来ます。
ケアマネが疲弊する理由も、ここにあります。
ケアマネが疲弊する理由は、忙しいからではなく、集中が破壊され続けるからなのです。
人のストレス研究においても、人は、仕事量よりも中断回数の方がストレスを生むとされています。
ケアマネの仕事はーー
☆思考仕事(ケアプラン作成)
★調整仕事(連絡)
☆感情労働(相談)
ーー全部やっているのに、ここにランダム電話が入りまくります。
たとえるなら、文章を書いている人の机を5分ごとに揺らされるような仕事なのです。
そんな仕事をやりたいでしょうか?
ーー誰かの不安。誰かの怒り。誰かの困りごと。誰かの都合。
その全てが、1つの番号に集まってくる。
制度の隙間も、人出不足も、家族の葛藤も、社会の限界も。
全部、ケアマネの電話に流れ込んでくる。
そしてまた1人、静かに辞めていくーー。
ーケアマネとは、誰の担当にもならなかった問題の最終窓口であるー
ケアマネには、どのような内容の電話が掛かってくるでしょうか?
★利用者・家族の不安
☆事業所の調整
★病院からの連絡
☆行政対応
★苦情
☆トラブル
★急変
上記からも理解出来るように、ケアマネは「全部の問題の最終受付窓口」になっています。
これは、職種として、かなり異常です。
普通の仕事はーー
★営業→営業の電話
☆看護→看護の電話
★事務→事務の電話
しかしーーケアマネだけが、全部来る。
この構造が、有効求人倍率10倍の正体です。
ー電話とは、仕事を始める道具ではなく、仕事を終わらせない道具であるー
電話が、仕事を終わらない構造を作っています。
ケアマネの最大のストレスは、自分のペースで仕事が出来ない事にあります。
たとえばーー
★ケアプラン作成中に電話
☆訪問中に電話
★昼休みに電話
☆帰宅後に電話
ーーつまり、仕事が区切れないのです。
これは、人を、かなり消耗させます。
人が辞めていく仕事の特徴は、忙しいではなく、終わりが見えないだからです。
ケアマネの仕事は、まさに終わりが見えない仕事です。
ーー制度の隙間も、人出不足も、家族の葛藤も、社会の限界も。
全部、ケアマネの電話に流れ込んでくる。
そしてまた1人、静かに辞めていく。
有効求人倍率10倍。
それでも誰もやりたがらない理由は、難しい制度でも、重い責任でもない。
ただ1つ。
電話が鳴りやまない仕事だからだーー。
ー若者が介護を避けているのではない。介護が若者を避けているのだー
介護は、全部電話。
しかし、電話文化は、古いのです。
DX化が進んでいる業界であればーー
☆予約制
★チャット
ーー等、電話は使いません。
しかし、介護は、全部電話。
しかも、今すぐ対応文化。
これも、介護やケアマネを、若い人がやらない理由の1つです。
Z世代は特にーー
★電話嫌
☆非同期の方が好き
★記録残る方が安心
構造的に、未来を担う若者と、介護やケアマネは、ミスマッチなのです。
ケアマネの有効求人倍率が10倍なのは、給料よりも、仕事の構造の問題です。
電話が鳴り続ける仕事は、人が辞めていく。
この本質を改善していかないと、本当に、誰もケアマネをやらない時代が到来します。