そして、誰もケアマネをやらなくなった16ー電話が鳴りやまない仕事に、人は集まらないー

 

 

 

 ーー鳴っている。

 

 今日もまた、電話が鳴っている。

 

 

 ケアプランを書いていると鳴る。

 

 訪問から戻ると鳴る。

 

 昼休みにも鳴る。

 

 帰ろうとすると、また鳴る。

 

 

 

 誰かの不安。誰かの怒り。誰かの困りごと。誰かの都合。

 

 その全てが、1つの番号に集まってくるーー。

 

 

 

 

 

 

  ♦電話が鳴り続ける職場に、人は定着しない

 

 

 

 私は、ケアマネの有効求人倍率が10倍になっている理由の1つに「鳴り続ける電話」が原因にあると分析しています。

 

 電話とは、相手の時間の同意を取らずに強制的に割り込む通信手段です。

 

 

 

   ☆メール→自分の都合で読める

 

   ★チャット→自分の空いた時間で返信

 

   ☆手紙→自分の好きな時間に読める

 

 

 

 電話だけは「今出ろ」です。

 

 

 別の表現をすると「相手の仕事時間への強制割込み」です。

 

 電話とは時間への侵入であり、合法的な業務中断装置とも表現出来ます。

 

 

 

 ケアマネが疲弊する理由も、ここにあります。

 

 ケアマネが疲弊する理由は、忙しいからではなく、集中が破壊され続けるからなのです。

 

 

 人のストレス研究においても、人は、仕事量よりも中断回数の方がストレスを生むとされています。

 

 

 

 ケアマネの仕事はーー

 

    ☆思考仕事(ケアプラン作成)

 

    ★調整仕事(連絡)

 

    ☆感情労働(相談)

 

 

 ーー全部やっているのに、ここにランダム電話が入りまくります。

 

 

 たとえるなら、文章を書いている人の机を5分ごとに揺らされるような仕事なのです。

 

 そんな仕事をやりたいでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー誰かの不安。誰かの怒り。誰かの困りごと。誰かの都合。

 

 その全てが、1つの番号に集まってくる。

 

 

 制度の隙間も、人出不足も、家族の葛藤も、社会の限界も。

 

 全部、ケアマネの電話に流れ込んでくる。

 

 

 そしてまた1人、静かに辞めていくーー。

 

 

 

 

 

  ーケアマネとは、誰の担当にもならなかった問題の最終窓口であるー

 

 

 

 ケアマネには、どのような内容の電話が掛かってくるでしょうか?

 

 

 

    ★利用者・家族の不安

 

    ☆事業所の調整

 

    ★病院からの連絡

 

    ☆行政対応

 

    ★苦情

 

    ☆トラブル

 

    ★急変

 

 

 

 上記からも理解出来るように、ケアマネは「全部の問題の最終受付窓口」になっています。

 

 

 これは、職種として、かなり異常です。

 

 普通の仕事はーー

 

 

    ★営業→営業の電話

 

    ☆看護→看護の電話

 

    ★事務→事務の電話

 

 

 しかしーーケアマネだけが、全部来る。

 

 この構造が、有効求人倍率10倍の正体です。

 

 

 

 

 

  ー電話とは、仕事を始める道具ではなく、仕事を終わらせない道具であるー

 

 

 

 電話が、仕事を終わらない構造を作っています。

 

 ケアマネの最大のストレスは、自分のペースで仕事が出来ない事にあります。

 

 

 たとえばーー

 

    ★ケアプラン作成中に電話

 

    ☆訪問中に電話

 

    ★昼休みに電話

 

    ☆帰宅後に電話

 

 

 ーーつまり、仕事が区切れないのです。

 

 

 

 これは、人を、かなり消耗させます。

 

 人が辞めていく仕事の特徴は、忙しいではなく、終わりが見えないだからです。

 

 

 ケアマネの仕事は、まさに終わりが見えない仕事です。

 

 

 

 

 

 ーー制度の隙間も、人出不足も、家族の葛藤も、社会の限界も。

 

 全部、ケアマネの電話に流れ込んでくる。

 

 

 そしてまた1人、静かに辞めていく。

 

 

 有効求人倍率10倍。

 

 それでも誰もやりたがらない理由は、難しい制度でも、重い責任でもない。

 

 

 ただ1つ。

 

 電話が鳴りやまない仕事だからだーー。

 

 

 

 

 

 

  ー若者が介護を避けているのではない。介護が若者を避けているのだー

 

 

 

 介護は、全部電話。

 

 しかし、電話文化は、古いのです。

 

 

 DX化が進んでいる業界であればーー

 

 

    ☆予約制

 

    ★チャット

 

 

 ーー等、電話は使いません。

 

 しかし、介護は、全部電話。

 

 しかも、今すぐ対応文化。

 

 

 

 これも、介護やケアマネを、若い人がやらない理由の1つです。

 

 Z世代は特にーー

 

    ★電話嫌

 

    ☆非同期の方が好き

 

    ★記録残る方が安心

 

 

 

 構造的に、未来を担う若者と、介護やケアマネは、ミスマッチなのです。

 

 ケアマネの有効求人倍率が10倍なのは、給料よりも、仕事の構造の問題です。

 

 

 電話が鳴り続ける仕事は、人が辞めていく。

 

 この本質を改善していかないと、本当に、誰もケアマネをやらない時代が到来します。