その痛みの続きを、誰かに生きさせるのか2ーその痛みを、今傍にいる人にまで背負わせなくていいー





 ーーねえ。

 あの日、あなたを傷つけた人は、今、あなたの目の前にはいないよ。



 それでも、あの日の言葉が、まだ胸に残っている。

 あの日の裏切りが、誰かを信じようとするたびに、顔を出す。



 だから、怖くなる。だから、疑ってしまう。

 だから、もう傷つかないように、先に、心を閉じてしまう。



 けれど、今、あなたの隣にいる人は、本当に、あの日あなたを傷つけた人と同じなのだろうか?

 あなたが受けた痛みは、誰かを傷つけるためにあるものではない。



 痛みを知ったあなたにしか、止められない連鎖があるのかもしれないーー。








  ーあの人の過ちを、いつから、あなた自身の過ちにしてしまったのだろう?ー



 私は、誰かを許せないという気持ちは、自分自身を許せない気持ちを、作っていくのかもしれないと、思っていますーー。



  ★あの人が、間違っていた

  ☆あの人が、私の話を聞いてくれなかった

  ★あの人が、私の大切なものを否定した



 ーーそれは、間違いではない。

 あなたが傷ついた事も、あなたが納得出来なかった事も、なかった事にする必要はありません。




 けれど、何度もその出来事を思い返すうちに。

 私達は、あの日の自分を何度も、何度も、その場所へ連れ戻してしまう。



 あの人が、間違っていたはずなのに。どうしてーー



  ★自分まで、間違っていたように感じるのだろう

  ☆傷つけられた自分にまで、責任を感じるのだろう



 ーー誰かを許せない気持ちは、いつしか、傷つけられた自分を許せない気持ちに変わっていく。





 心理学では、他者を許す事と、自分を許す事の関係について、複数の研究がされています。

 カンザス大学の研究では、他者を許す事と、自分を許す事は同じではないとしながらも、深く関連しているとされています。



 どうして、あの人はーー。



  ★あんな事を、したのだろう

  ☆自分は、受け入れてしまったのだろう

  ★今も、あの出来事から離れられないのだろう



 ーー許せない相手を思い出す度に、許せない自分まで、増えていく。








 ーーねえ。

 今、あなたの隣にいる人は、あの日、あなたを傷つけた人ではない。



 今、あなたの隣にいる人にも、間違いはある。あなたを、悲しませることもあるだろう。

 期待を裏切ることだって、ある。



 それでも、その1度の間違いだけで、それまでの全てを決めてしまわなくていい。

 誰かに傷つけられた記憶が、誰かを大切にする気持ちまで、奪ってしまわなくていい。



 
 あなたが受け取った痛みを、次の誰かに渡さないという選択も、きっとできるのだからーー。







  ー痛みを、忘れなくてもいい。ただ、その痛みに、今傍にいる人の全てを決めさせなくていいー



 けれど、あの日、あなたが何も言えなかったからといって、あなたの気持ちまで間違っていたわけではないーー。



  ☆誰かを、信じた事も

  ★誰かに、期待した事も

  ☆誰かに、わかってほしいと願った事も


 
 ーーそれは、あなたが間違っていたという事ではない。

 


 誰かを、許せないままでもいい。

 その人と、もう1度関係を築かなくてもいい。

 傷つけられた事を、許せる出来事に変えなくてもいい。



 けれど、これから出会う誰かまで、あの日の相手と同じように見なくてもいい。

 

 たった1度の間違いを、過去に傷つけられた傷と同じように、受け止めなくていい。

 まだ失っていない関係を、失う事を恐れて、先に手放さなくていいーー。



  ★あの人に、わかってもらえなかったから

  ☆あの人に、裏切られたから

  ★あの人に、自分の大切なものを否定されたから



 ーーだからといって、今まで大切にしてきた人まで、あの日の誰かと同じ人にしてしまわなくていい。





 勿論、慎重になっていい。

 自分を、守ってもいい。



 ただ、過去に出会った誰かによって、今出会っている人達の答えまで、決めてしまわなくていい。





 他者を許す事と、自分を許す事は、同じではない。

 けれど、他者を許せない心が、いつしか、自分を許せない心を作っていく事がある。


 だからこそ、もう1度考えてみたい。

 あなたが許せないのは、本当にその人だけだろうか?


 それとも、あの日の痛みを、今傍にいる人達にまで、重ねてしまってはいないだろうか?