人は、自分が守られた形でしか他者を守れないー0~6歳で決まる戻れる自己肯定感4




 ーー誰かに否定された時、意見を返された時、その場では笑っていても、心の中で深く沈む人がいる。

 なぜ、そこまで苦しいのか?


 相手の言葉が、強かったからではない。

 その言葉に、自分の存在まで重ねてしまうからだ。


 「違うね」と言われただけで「認められなかった」と感じる。

 「それは違うと思う」と言われただけで「自分は間違っている」と感じる。


 その痛みは、言葉の問題ではない。

 その痛みは、自分の居場所が、他人の評価の中にある苦しさだーー。



 

 

  ♦自己肯定感とは、自分を信じる力ではない。否定されても自分は消えないと知っている感覚の事である

 

 

 

 

 自己肯定感の質の違いは、人生の土台の強度の違いとして、大人になってはっきりと出てきます。

 

 

 正解が1つだけでなく、違いを認められる環境で育った人の自己肯定感は「折れにくく、揺れても戻る」ものとなります。

 

 1つの正解や、皆と同じである事が求められる環境で育った人の自己肯定感は「条件付きで、崩れやすい」ものとなります。

 

 

 その差は、大人になってから、露骨に現れます。

 

 

 

 

 

  ー人は、違いに傷つくのではない。違いの中で、自分を失うことに怯えているー



 同じ意見でも、受け取り方は、人により大きく異なります。

 ある人は、こう感じますーー。

 

   ★意見が違う→否定された・攻撃された

 

   ☆反論される→感情が先に立つ

 

   →無意識に相手を、敵認定する

 

 

 
 一方で、こう感じる人もいますーー。

 

 

   ☆意見が違う→「そういう考え方もあるよね」

 

   ★否定される→「自分の価値が否定されたわけじゃない」

 

   →議論が出来る・距離も取れる

 

 

 
 この違いは、心の強さではありません。

 この違いは「自分を守れる場所を知っているか」です。



 



 ーー人は大人になるほど、隠すのが上手くなる。

 でも、土台は隠せない。


 仕事で否定された時。家族とすれ違った時。思い通りにいかなかった時。

 その時に、土台が出る。



 怒りになる人。黙り込む人。急に他人を切り離す人。自分を責め続ける人。


 その反応は、性格ではない。

 その反応は、どこで自分を守ってきたかの痕跡だーー。




 

 

  ー失敗しても、人は壊れない。失敗した自分を追い出した時、人は壊れるー

 



 失敗した時も、同じです。

 土台が安定していない自己肯定感は、失敗を人格に結びつけますーー。



   ★失敗=自分の価値が下がる

 

   ☆出来ない自分=ダメな自分

 

   →回避・他責・自己否定に振れやすい

 

 

 
 土台が安定している自己肯定感を持つ人は、失敗の捉え方が違いますーー。

 

 

 

   ☆失敗=経験の一部

 

   ★恥=一時的な感情

 

   →失敗を自分そのものと切り離せる・立て直しが早い

 

 

 失敗しても、自分はなくならない事を知っているのです。





 ーー人の心は、思考で動いているわけではない。

 人の心は、もっと古い場所で動いている。


 言葉になる前の記憶。抱き上げられた温度。見捨てられなかった時間。


 これは人格ではなく、経験の蓄積。

 その蓄積が、苦しい時の、帰り道になるーー。





 

   ♦回復力とは、立ち上がる力ではない。立ち止まっても、戻ってこられると知っている力である

 

 

 

 レジリエンスとも呼ばれる回復力に、人によって差が出るのは何故でしょうか?

 

 

 

 まず、結論。

 

 自己肯定感の回復力に差が出る理由は、落ちた後に戻る場所を、脳と身体が知っているかどうか。

 

 これだけです。

 

 

 

 

  ー回復力の差は、強さの差ではない。戻れると知っているかどうかの差だー

 

 

 回復力は、根性でも、気合でも、性格でもありません。

 人は、よく言いますーー。

 

 

 

   ★あの人は、ポジティブだから

 

   ☆あの人は、メンタルが強いから

 

   ★あの人は、根性があるから

 

 

 

 ーー全て違います。

 落ち込まない人は、いません。傷つかない人も、いません。崩れない人も、いません。


 違うのは、その後。

 落ち込んだ自分を、傷ついた自分を、崩れた自分を、どう扱うか。

 ここに差が出ます。



 回復力とは、気合でも、性格でもありません。

 「落ちても、自分は戻れる」

 この前提を、経験として、持っているかどうかです。

 

 

 この前提は、思考ではありません。この前提は、身体が覚えている安心です。

 




 ーー子どもの頃、失敗しても怒られなかった記憶。

 泣いても、抱きしめてもらえた記憶。

 わからなくても、そこにいて良かった記憶。


 それらは、忘れたように見えるが、ずっと残り続ける。

 言葉になる前に、身体の奥に残っている。



 苦しい時、人は、頭で立ち直るのではない。

 もっと深い所で、昔の安心に触れている。


 「大丈夫だった」という記憶に、静かに手を引かれて、戻っていくーー。




 

 

  ー失敗しても居場所が消えないという経験の積み重ねが、大人になってからの回復力になるー

 

 

 「落ちても、自分は戻れる」という前提認知を作るのは、0~6歳までの非認知能力の臨界期の時期です。

 

 

 

   ☆失敗しても、関係が切れなかった

 

   ★泣いても、受け入れられた

 

   ☆分からなくても、居場所があった

 

 

 

 上記のような回復力が育つ経験を積み重ねる事で、脳は「感情が落ちても、戻れる場所がある」と学びます。

 

 これが、無意識の回復ルートになります。

 
 これは言葉ではなく、身体で覚えていきます。


 

 その反対にーー

 

 

   ★失敗したら、怒られた

 

   ☆泣くと、止められた

 

   ★分からないと、居場所がなかった

 


 この経験が重なると、脳は別の事を学びますーー。

 

   ★落ちたら、終わり

   ☆崩れたら、見捨てられる

   ★弱さを見せたら、価値がなくなる


 だから、先に守ろうとしますーー。


   ★逃げる

   ☆責める

   ★閉じる


 これは、弱さではありません。

 

 「落ちても、自分は戻れる」を知らない防衛なのです。





 ーー自己肯定感とは、自分を好きになることではない。

 崩れた自分を、追い出さずにいられることだ。


 人は、安全な場所を知っていることで、何度でも外に出かけることができる。


 だから、本当に強い人とは、立ち上がる人のことではない。

 本当に強い人とは、立ち止まった自分に、居場所を残している人のことだーー。



 

 

 

  ー多様性のある環境とは「戻ってきていい」と何度も教える環境であるー

 



 多様性とは、価値観が違う事ではありません。

 多様性とは「違っていても、関係が切れない」事を体験出来る世界の事です。


 

   ☆正解が、揃わない

 

   ★分かり合えない場面が多い

 

   ☆同調しても、安心は保証されない

 

 

 

 多様性耐性が自然に身につく環境では、上記のような中で「上手くいかなくて、関係は続く」という体験を、何度も何度も繰り返します。

 理解されない事があっても、居場所はなくならない。

 
 この経験を繰り返す事で、身体が覚えていきますーー。


   ☆違っても、大丈夫

   ★失敗しても、終わりじゃない

   ☆1度離れても、また戻れる


 

 回復力は、知識ではなく、反復経験で育ちます。

 

 回復力とは、落ちても大丈夫だったという記憶の総量の事なのです。