ーー子どもは、親の言葉を忘れていく。
でも、泣いても、大丈夫だったこと。
失敗しても、戻れたこと。
怒られても、愛情が消えなかったこと。
その感覚は、心の奥に残り続ける。
そしていつか、その子が誰かを愛する時、その安全は、次の世代へと静かに受け継がれていくーー。
♦子育てとは、子どもを育てる行為ではなく、この世界は安全だという前提を、次の世代に手渡す営みである
ー子どもは親の言葉ではなく、親が無意識に信じている世界を引き継ぐー
子育てとは、子どもを操作して、親の理想の形に育てる事ではありません。
子どもは、親の教育方針より先にーー
☆親が、世界をどう見ているか
★人を、どのように信じているか
☆感情を、どう扱っているか
ーーこの空気を吸って、育ちます。
子どもが受け継ぐのは、親の言葉ではなく、親の「前提認知」なのです。
※前提認知:人が考えるより前に、無意識「世界はこういものだ」と感じている心の土台
ーー不安の中で育った人は、世界を少しだけ、緊張した場所として見ている。
間違えると、嫌われる。
迷惑をかけると、愛されなくなる。
感情を出し過ぎると、関係が壊れる。
だから「ちゃんとしなさない」の奥には「この子が傷つかないように」という祈りが隠れている。
けれど、その祈りは時々、子どもの感情より、親自身の怖さを守るために使われているーー。
ー愛とは、傷つけないことではない。傷ついた後も、関係を終わらせないことであるー
自己肯定感が不安の上に成り立っている人は「正しくある」事で、自分の価値を守ろうとします。
その為、子育てにも、無意識に正しさという緊張が入り込みますーー。
★ちゃんとさせないと、いけない
☆間違いは、正さなければならない
★関係は、壊れやすい
ーーだから、子どもが泣くと焦る。反抗されると、不安になる。言う事を聞かないと、苦しくなる。
子どもの感情が、子どもの問題ではなく、自分への否定として響いてしまうのです。
これに対し、自己肯定感が安全の上に成り立っている人は「正しさ」より先に「関係は壊れない」という感覚を持っていますーー。
☆子どもは、コントロールする存在ではない
★違いは、問題ではない
☆関係は、意見が違っても続く
ーーだから、子どもが泣いても「困った子」ではなく「今、困ってるんだな」と見られる。
怒りも、癇癪も、不安も、消すべきものではなく、子どもの表現として受け入れられるのです。
ーー人を育てるのは、恐怖ではない。
人を育てるのは、関係が切れないという安心である。
怒られた後にも、目を合わせてもらえた。
注意された後にも、自分の意見を聞いてもらえた。
不機嫌な沈黙ではなく「さっきは怒ったけど、もう大丈夫」があった。
この積み重ねが、子どもの中に「失敗しても、存在してもいい」という感覚を育てていくーー。
ー叱るとは、関係を切ることではなく、関係が続いていると示す行為であるー
親の前提認知が、最も現れるのが、子どもを叱る時です。
自己肯定感が、不安の上に成り立つ怒りはーー
★正しさを、優先
☆感情を、置き去りにする
★叱った後に、無言・距離を取る
ーーすると子どもは「叱られた」以上に「嫌われたかもしれない」を感じます。
子どもにとって本当に怖いのは、怒られる事ではありません。
子どもにとって本当に怖いのは、関係が切れる事です。
自己肯定感が、安全の上に成り立つ怒りはーー
☆感情を受け止めてから、行動を伝える
★怒ったけど、関係は安全である事を示す
☆怒った後に、距離を取らない
ーー「その行動はだめ」と伝えながら「でも、あなたを嫌いになったわけではない」を同時に伝えているのです。
良い叱りは、静かに残ります。
悪い叱りは、恐怖だけを残します。
ーー感情は、嵐に似ている。
無理に止めようとすると、余計に荒れる。
でも、誰かが灯りを消さずにいてくれると、人は、自分で戻ってこられるようになる。
子どもに必要なのは、怒らない親ではない。
子どもに必要なのは、感情の嵐の中でも、関係を切らない親であるーー。
ー子どもの感情は嵐であり、親はそれを消す風ではなく、灯りを消さない港であれー
子どもは、感情を上手く扱えません。だからーー
☆泣く
★怒る
☆混乱する
ーーこれは「未熟だから」起こる自然な現象です。
自己肯定感が、不安の上に成り立つ場合ーー
★子どもの感情=自分への否定
☆早く止めたくなる
★「怒らない」「泣かない」等、子どもの感情を否定する
ーー感情そのものを、問題行動として扱ってしまいます。
自己肯定感が、安全の上に成り立つ場合ーー
☆泣く・怒る等を表現方法として、みられる
★感情=問題行動として捉えない
☆子どもの言動に、自分が揺さぶられない
ーーすると子どもは「感情を表現しても、見捨てられない」と、学んでいきます。
ーー子育てとは、子どもを管理することではない。
正しい子に、育てることでもない。
泣いても、失敗しても、分かり合えなくても、戻ってこられる場所があると、静かに伝え続けること。
そこで築かれた安心は、言葉より深く、次の世代の心に残っていくーー。
ー戻ってこられる場所があるから、人は遠くまで自分を見つめに行くことができるー
安全とは、甘やかしでも、放任でも、怒らない子育てでもありません。
本当の安全とは「失敗しても、関係は切れない」という感覚です。
人は、罰によって変わるのではありません。
人は「戻ってこられる関係がある」時に、初めて変わっていく事が出来るのです。