子育てを科学する

 子どもが、自由を手にして尊敬される人になるのか、尊敬とは対極の存在になるのか、積極的になるのか消極的になるのか、創造的になるのか破壊的になるのか等には、どのような要素が関わっているのでしょうか?

 最新の研究では、子どもの性格は50%が遺伝、40%が学校や友人等の環境、親の教育やしつけは6%しか関与しないというデータも出ています。

 つまり、親がしてやれる事は、治安が良く、なるべく高学歴な地域に住み、そのような親の子どもが集まる学校に通学させてやる事位です。

 学歴が低い学校といじめとの相関関係は高く、学歴が高い学校といじめとの相関関係は低いという、世の中に発表したら炎上しそうなデータが複数出ています。

 私は6%しか子どもの性格に関与しないかもしれませんが、親の教育やしつけは大事であると感じています。

 そのような考えを裏付ける研究があります。

 ユダヤ人大虐殺の最中、命の危険を冒してまでもユダヤ人を救った非ユダヤ人を調査し、勇敢な人達と、ユダヤ人を助けるに至らなかった同じ街に住む住民とを比較しました。

 救助をした人達は、行動を起こさなかった近隣の傍観者と、学歴、職業、家庭、住む場所、指示する政治、信じる宗教等、どれも似通ったものでした。

 子どもの頃の反抗的な態度も同じで、救助を行った人も傍観者も、同じように親の言う事を聞かなかったり、盗みを働いたり、喧嘩をしたりと、親からよく叱られていました。

 その中で異なっていたのは、親が悪い行いに対しどのように戒めたか、良い行いをどのように褒めたかでした。

 子どもは、2歳から10歳になるまで、10分に1回程度、親に行動を改めるように注意されます。

 つまり、子どもは親から、1日50回程度しつけを受け、1年では15,000回以上もしつけを受ける計算になります。

 大虐殺からユダヤ人を救った人達に、子どもの頃を思い出してもらうと、親から独特なしつけを受けていた事がわかりました。

 その独特なしつけとは「親からよく説明を受けた。」というものでした。

 救助にあたった人達の親が、傍観者の親と決定的に異なっていたのは、しつけの際に、その理由を説明していた事でした。

 悪い行いに対しては、償う方法を提案したり、助言したりしていました。

 理由を説明する事で、子どもを尊重しているというメッセージが伝わります。

 つまり、親が子どもに理由を説明するという行為は、理解し、成長し、改善していける力が、その子にあると信じているという事の現れです。

 これを1日50回、1年に15,000回も繰り返されると、その子どもが自身で考える癖がつく事は、容易に想像出来ます。

 これが、ユダヤ人を救った人と救わなかった人との違いでした。

 大人になると、わざわざあなたに理由を説明してくれる人等、いません。

 そのような中では、自身の中で「これはどういう事だ?」という疑問を投げかけ、自身で考え、調べ、仮説を立てる等の癖をつけていく必要があります。

 子育てに限らず、理由を説明する癖を自身の中に持ち続ける事で、自身の感情や気持ちだけで生きる生き方から脱却する事が出来ます。