皆何かに背中を押されて、地獄に足を突っ込む

 「オレはこの施設に来て毎日思う‥何でこんなことになったんだろうって‥心も体も蝕まれ、徹底的に自由は奪われ、自分自身をも失う‥こんなことになるなんて知っていれば、誰も戦場になんか行かないだろう。でも‥皆何かに背中を押されて、地獄に足を突っ込むんだ。大抵その何かは、自分の意思じゃない。他人や環境に強制されて仕方なくだ。ただし、自分で自分の背中を押した奴の見る地獄は別だ。その地獄の先にある何かを見ている。それは希望かもしれないし、さらなる地獄かもしれない。それはわからない。進み続けた者にしか‥わからないんだ。」

 『進撃の巨人』の物語を凝縮したかのようなエレンの言葉です。

 小学校の図書館に並ぶような伝記の主人公達も、自らの意思で、英雄になったわけではなく、他人や環境に強制されて仕方なく進んだ先に、英雄になった人がほとんどではないでしょうか。

 ミケランジェロは、システィーナ礼拝堂の天井にフレスコ画を描くようローマ法王に依頼されたものの、それを描くのが嫌でフィレンツェに逃亡しています。ローマ法王に強く要求され、描き始めたのは最初の依頼から2年以上が経過してからでした。

 コペルニクスは、地球が太陽の周りを周っているという独自の発見を発表しようとしませんでした。コペルニクスは、自らの発表が笑いものになることを恐れ、22年間も沈黙を貫きました。その後、周囲が研究を発表するよう働きかけましたが、それでもコペルニクスは行動しませんでした。彼の考えが、世に発表されたのは、彼自身からではなく、ある数学者からでした。

 キング牧師も、公民権運動を主導することに不安を抱いていました。妻とは、これ以上続けるのは辞めようとまで話していました。しかし、会議の参加者の1人が、キング牧師を協会長に指名してしまい、やらざるを得ない状態となってしまいました。

 伝記の主人公達も、エレンの言葉通り、自分の意思ではなく、他人や環境に強制されて仕方なく英雄になっていることが、勉強を続けていると知ることが出来ます。