ーー私たちは「選ばれなかった」という小さな事実を、「自分には、選ばれる価値がない」という大きな物語に変えてしまう。
恋愛だけでは、ない。
仕事も。試験も。社会も。
私たちは、あまりにも多くの場所で「選ばれること」を、求められている。
だからこそ『ちいかわ』の世界には、少し不思議な安心感が、あるのかもしれない。
そこでは、誰かの恋人でなくてもいい。誰かに、選ばれなくてもいい。
友達と笑って、美味しい物を食べて、今日を生きていく。
誰かに選ばれなくても、人生は続いていく。
もしかすると、それこそが、今を生きる私たちが、本当に求めているものなのかもしれないーー。
ー選ばれる人になることより、選ばれない自分を嫌いにならないことの方が、ずっと難しいのかもしれないー
私には『ちいかわ』の世界が、今の時代にとても優しい世界だと、感じる理由があります。
それは、恋愛による「選ばれる・選ばれない」が、存在しない事です。
勿論、恋愛がない事だけが、特別なわけではありません。
大切なのは「誰かに、選ばれる」が、人生の中心に置かれていない事。
私達は、子どもの頃から、知らないうちに「選ばれる」という事を、覚えていきますーー。
★学校に、選ばれる
☆会社に、採用される
★社会から、認められる
ーーそして、誰かに愛される。勿論、恋愛そのものが悪いわけではありませんーー。
☆誰かを、好きになること
★誰かと、一緒に生きたいと思うこと
ーーそれは、とても素敵な事です。
けれど、今の社会では、恋愛さえも、時に「選抜」のように、感じられてしまいますーー。
20代男性の約半数が「これまでに、異性と交際をした事がない」という、今の時代。
勿論、恋愛は、誰にでも可能性のあるものです。
けれど現実には、恋愛をしたいと思っても、誰もが恋愛を出来るわけでは、ありませんーー。
★誰に好かれ、誰に選ばれるのか
☆どれくらい、異性から評価されるのか
★容姿・収入・コミュニケーション能力・社会的地位
ーーこうしたものまで含めて「自分には、どれくらい価値があるのだろう」と、自分自身を測ってしまいますーー。
☆恋愛を、している人
★結婚を、している人
☆誰かから、必要とされている人
ーーそうした人達を見ながら「自分には、何が足りないのだろう」と、自分を小さくしてしまう。
けれど『ちいかわ』の世界には、それがない。
ーー『ちいかわ』の世界が、心地よく感じるのは「誰かに、選ばれること」を、人生の中心に置いていないからなのかもしれない。
恋人がいなくても、友達がいる。
誰かの1番でなくても、隣で笑える人がいる。
大きな愛がなくても、小さな幸せは、今日のどこかに落ちている。
そして、それを拾い上げるだけで、今日を生きていける。
選ばれなくても、いい。そう、言っているのではない。
誰かに選ばれる幸せを、否定しているのでもない。
ただ、選ばれなかった日を、自分の人生を失った日に、しなくてもいい。
誰にも見つけられない夜に、自分だけは、自分を見失わないようにーー。
ー誰かに選ばれなくても、今日という日は、あなたを置いていかないー
けれど『ちいかわ』の世界には、それがない。
恋人がいるから、偉いわけではない。恋愛をしていないからといって、何かが欠けているわけではないーー。
☆ちいかわは、ちいかわ
★ハチワレは、ハチワレ
☆うさぎは、うさぎ
ーー誰かに選ばれなくても、友達と一緒にいる事が出来る。
仕事をして、お金を貰って、美味しいものを食べる事が出来る。
私達は、あまりにも多くの場面で「選ばれる」事に、慣れ過ぎてしまっています。
「選ばれなかった」時、私達は、その結果だけではなく「自分自身が、否定された。」と、感じてしまいます。
けれど、それは違いますーー。
☆試験に落ちた事と、価値がない事は違う
★仕事で評価されない事と、存在する価値がない事は違う
☆誰かに愛されない事と、愛される価値がない事は違う
ーーその事を『ちいかわ』は、恋愛を描かない事で、教えてくれているのかもしれない。
誰かに選ばれなくても、人生は続いていく。
そして、誰かに選ばれなくても、小さな幸せは、ちゃんと存在するーー。
★大きくならなくても、いい
☆恋愛を、しなくてもいい
★誰かに、選ばれなくてもいい
ーーそれでも、ここにいていい。
その許可を、私達は『ちいかわ』から、静かに貰っているのかもしれません。