人は、幸せになるために進化したのではないーネガティブは、人類が生き延びてきた証ー





 ーー人は、世界を、そのまま見ているのではない。

 世界を、生き延びるために見ている。



 だから私たちは、笑顔よりも先に、怒った顔を見つける。

 成功よりも、失敗を記憶する。


 100の安心よりも、1つの危険を、見逃さない。

 それが、人類という種が選び続けてきた、生存戦略だったーー。






  ー私達は、幸せになるために進化したのではない。生き残るために進化した。その脳で、幸せを見つけようとしているー



 私達は何故、傷ついた記憶だけ、いつまでも忘れないのでしょうかーー?


   ★10人に褒められた事よりも、1人の批判

   ☆10個の良い出来事よりも、1個の悪い出来事


 ーー私達が、より深く記憶しているのは、そのたった1つの傷ついた記憶です。




 「私は、ネガティブな性格だから。」

 本当に、そうなのでしょうか?


 私は、それは性格ではなく、人類という種が持つ設計図だと思っています。




 私達の祖先は、何百万年もの間、常に死と隣り合わせの中で生きてきましたーー。


   ★狩りに出れば、肉食動物に襲われ

   ☆天候が悪くなれば、飢餓に襲われ

   ★感染症に罹患すれば、死を待つしかない


 ーー「危険かもしれない」そう考えた人だけが、生き残る事が出来たのです。



 これに対し「大丈夫だろう」と楽観した人は、そのたった1度の判断で、命を落としてきました。

 進化は「幸せになる脳」ではなく「生き残る脳」を、選び続けてきたのです。








 ーー命は、楽観した者ではなく、危険を覚えてきた者により、受け継がれてきた。


 だから私たちは、傷つく。

 傷を忘れないように、できているのだ。



 それなのに人は、自分を責める。

 もっと、前向きに。気にし過ぎ。切り替えよう。


 ただ、脳はそんな言葉は知らないーー。







  ー人は、傷つくように生まれたのではない。生き延びるため、傷を忘れないように生まれたのであるー



 ネガティブの強さは、状況によりポジティブの3~20倍の範囲で、推移しますーー。


   ★天気が悪い・転んだ:3倍

   ☆恋人・友人との喧嘩:5~6倍

   ★事故・病気・虐待:20倍以上


 ーーこの数字が示しているのは「人は弱い」という事ではありません。




 この数字が示しているのは、人類が何百万年も掛けて、生き延びる為に獲得した共通システムが、現在も私達の中で働いているという事実です。


 あなたが、傷つきやすいのではない。

 あなたの脳が、命を守ろうとしているのです。








 ーー脳が知っているのは、ただ1つ。

 「生きろ」ということだけ。


 その命令だけを、何百万年も、守り続けてきた。

 だから、不安は消えない。恐れもなくならない。それでいい。

 それは、人類共通の鼓動なのだから。




 私たちに必要なのは、ネガティブをなくすことではない。

 「恐れてしまうのは、人間だから」と、知ることだ。


 その瞬間から、不安も恐れも緊張も、敵ではなくなる。

 命を守ってきた相棒として、静かにあなたの隣に座り始めるーー。






 
  ーネガティブを消そうとする人生は、自分と戦う人生になる。ネガティブを理解する人生は、自分と歩む人生になるー



 しかし、ここで1つの皮肉が生まれています。

 現代には、私達を襲うライオンはいないのです。


 けれど脳は、上司の一言をライオンに襲われたかのように受け取り、人間関係の小さな摩擦にも大きく反応してしまいます。




 脳は、進化してきました。

 文明は、もっと速く進化してきました。


 だから現在、人類は「命の危険ではないもの」にまで、危険信号を鳴らし続けています。

 この設計図を知らないと、人は、自分を責めてしまいますーー。



   ★何で、こんなことで落ち込むんだ

   ☆もっと、前向きにならなきゃ

   ★自分は、弱い人間だ



 ーー違います。それは、弱さではありません。



 人類全員に組み込まれている、生存プログラムなのです。

 だから必要なのは、ネガティブを消す力ではありません。


 ネガティブに気付いた時「これは、脳が命を守ろうとする反応だ」と、一歩引いて眺める力です。

 心を変える事よりも先に、脳の仕組みを知る。




 人は、自分を責めなくなった瞬間から、初めて自分を育てる事が出来るようになります。

 ネガティブは、敵ではありません。


 それは、人類が今日まで生き延びてきた証なのです。