♦親の余白が、子どもの人生を育てる
私は、子どもの成長を左右するものは「親の正しさ」ではなく「親の余白」であると考えています。
ここでいう余白とは、時間や気力の事ではありません。怒らない事でもありません。
余白とは「自分が揺れても、安心して戻ってこられる心の居場所」ですーー。
☆不安になったとしても
★腹が立ったとしても
☆焦ったとしても
ーーその感情を子どもへ返さず、1度自分の中で抱えられる力。
これが余白です。
ーー親は、子どもの未来を作ることはできない。
親ができるのは、未来へ向かう心の土台を守ることだけである。
その土台の名を、私は「余白」と呼ぶ。
「余白」とは、何もない空間のことではない。
泣き声を急いで、消さないこと。失敗を急いで、正さないこと。答えを急いで、与えないこと。
子どもが、自分の力で帰ってこられるまで待てる、大人の静かな強さであるーー。
ー人は、安心できる場所があるから挑戦できる。親の余白とは、その安心を子どもに手渡すことであるー
自己肯定感には、2つの土台があります。
2つの土台とは「不安」と「安全」です。
自己肯定感が「不安」の上に成り立っている親の場合ーー
★子どもの感情を、自分への否定として受け取る
☆「怒らない」「泣かない」と、子どもの感情を修正する
★親の役割は「間違わせない」事だと思っている
ーーすると子どもは、親の顔色を見て、正解を探すようになります。
親子関係は、少しずつ「支配ー従属」に、近づいていきます。
自己肯定感が「安全」の上に成り立っている親の場合ーー
☆子どもの感情に、自分が飲み込まれない
★泣く事も怒る事も、成長の一部として受け止める
☆親の役割は「子どもの歩みに寄り添う」事だと思っている
ーーだから子どもは、安心して泣ける。安心して怒れる。安心して失敗出来る。
親子関係は「安心を土台とした信頼関係」に、なっていきます。
「でもさ、ビーチの癖ついたら大変じゃない?オーバーも砂も。硬い床が怖くなっちゃわない?」
「なっちゃいます!だから、インドアのジュニアチームにも混ぜてもらってます!」
「チッぬかりねえな。」
「‥そこそこレベル上げたのに、それを一回横に置いて、またレベル1から始めるって辛くないかい?」
「‥!んー‥でも、レベル上げ好きです。」
「できるようになるの、何回でも楽しいです。」
『ハイキュー』及川徹と日向の物語です。
ー昨日の敗者達。今日のお前は何者だ?ー
及川徹が、日向に尋ねます。
「‥そこそこレベル上げたのに、それを一回横に置いて、またレベル1から始めるって辛くないかい?」
日向は、答えます。
「‥!んー‥でも、レベル上げ好きです。」「できるようになるの、何回でも楽しいです。」
この言葉には、非認知能力の本質があります。
人は、失敗を「自分の価値が下がる」事だと思うと、挑戦出来ません。
一方で、失敗を「出来るようになる途中」と思える人は、何度でも挑戦出来ます。
非認知能力とは、失敗しない力の事ではありません。
非認知能力の本質とは、失敗しても、自分の価値は変わらないと信じられる力。
そして、その力は「頑張れ」という言葉ではなく「失敗しても大丈夫」という安心の中で、育っていきます。
ーー子どもは、親の言葉を覚えて、大きくなるのではない。
親の眼差しを見て、大きくなる。
「失敗しても大丈夫。」「泣いても、ここにいていい。」「できなくても、あなたの価値は変わらない。」
その言葉を聞いたからではない。その空気の中で、生きてきたから。
だから、完璧な親になる必要はない。
子どもの前で、揺らがない親になる必要もない。
ただ、揺れながらも自分の心に帰ってこられる大人であればいいーー。
ー子どもは、安心できるから挑戦する。挑戦するから、学ぶ。そして、その積み重ねが非認知能力になるー
子どもの脳は「防衛」か「探索」かで生きています。
余白のない親の傍では、子どもの脳は「防衛モード」になりますーー
★親の顔色を見る
☆正解を探す
★失敗を恐れる
一方、余白のある親の傍では、子どもの脳は「探索モード」になりますーー
☆試してみる
★失敗する
☆感情を出す
ーーそして、自分で考える。
学びは「安心」の上でしか深まらないのです。
ーー親が帰ってこられる場所を持つ時、子どももまた、自分の人生へ、何度でも帰ってこられる人になる。
非認知能力とは、才能ではない。
教育方法でもない。
「この世界には、帰ってこられる場所がある。」
その感覚が、ゆっくりと形になったものであるーー。
ー子どもは未来へ進む力よりも、揺れた時に自分の心へ帰ってこられる力を持った時、本当の意味で強くなるー
子どもは、親の言葉だけで、育つのではありません。
親の心の余白の中で、育ちます。
だから目指すのは、完璧な親ではありません。子どもを失敗させない親でもありません。
目指すのは「揺れても、自分の心に戻ってこられる親」です。
その親の姿を見ながら、子どもは少しずつ「失敗しても大丈夫」「自分は大丈夫」という感覚を、自分の中に育てていきます。
そして、その安心感こそが、非認知能力の土台となります。
次回は、この「余白」が、夫婦間系の中でどのように育まれ、子どもへ伝わっていくのかを考えてみたいと思います。