拍手が、正しさを作るー「正しい」という空気が、戦争さえも動かしていくー




 ーーそうして、言葉は、空気になった。

 空気は、正しさになった。




 正しさは、人を動かした。

 誰も、自分が空気を作っているとは、思わなかった。




 ただ、みんなと同じことを、言っていただけだったーー。









  ー戦争を始めるのは、政治家かもしれない。でも、戦争を「正しい」と思わせる空気は、私達が作ってしまうー




 あの戦争の責任は、政治家にあった。

 私は、学校教育で、このように教わってきました。


 それは、間違いではないと思います。

 戦争を決め、政策を決め、国を動かした人達には、責任がある。



 
 ただ私は、どうも納得出来なくて、大学時代、広島・長崎・沖縄を訪れ、戦争体験者と会話を重ねたり、様々な資料を見てきました。

 そこで、当時の私が出した答えは「あの戦争の責任は、マスコミにあるのでは?」と、いうものでした。



 あれから時が過ぎ、私の答えも、変わってきました。

 あの戦争は、政治家だけでも、新聞だけでも、出来なかったーー。



    ★国民が、いて

    ☆学校が、あって

    ★地域が、あって



 ーーその1つ1つの場所にーー



   ★「それが、正しい」

   ☆「それが、立派」

   ★「国の為に、頑張る事が素晴らしい」



 ーーという空気が、広がっていく。

 私は、その空気を作っていった国民にも、あの戦争の責任の一端は、あったのではないかと、感じています。








 ーー拍手が増えるほど、疑うことが、恥ずかしくなった。

 「戦いたくない。」と言うより「戦います。」と言った方が、褒められた。




 「おかしい。」と言うより「その通りです。」と言った方が、愛された。

 そうして、気持ちいい言葉が、真理より強くなった。




 誰かが、空気を作ったのではない。

 私たちが、拍手をすることで、空気は作られたのだーー。





 

  ー怖いのは、悪人が、社会を動かすことではない。普通の人が「良いことをしている」と思いながら、社会を動かしてしまうことー




 問題は「何故、普通の人達が、その空気を作る側になってしまったのか?」



 たとえば、学校。

 教師が「国の為に、戦うことは立派だ。」と、教える。

 
 子どもが「国の為に、戦います。」と、言う。

 するとーー



   ★「立派だ。」

   ☆「よくできた、子だ。」

   ★「さすが、〇〇だ。」



 ーー等と、褒められる。

 子どもは、本当に戦争の事等、考えていはいない。ただ、その場で、褒められたくて、言っている。




 ただ、そういう教えが多数派になるとーー


   
   ☆教師も、褒められる

   ★学校も、評価される



 ーーそして、地域の大人達は「あの学校は、しっかり教育している。」と、言い出す。



 その言葉を聞いた別の子どもは「自分も、そう言わなければ。」と、思う。

 そうして、誰かが作った言葉が、みんなの言葉になっていく。






 怖いのは、そこに悪人が、いない事ーー。



  ★教師は、立派な大人にしようとしただけ

  ☆親は、子どもの将来を考えただけ

  ★子どもは、教師や親に褒められた勝っただけ



 ーーただ、それぞれが「良いこと」をしているつもりでも、それが積み重なる事で、社会全体が1つの方向へ、動いていく事があります。







 ーーそして、いつしかその空気が、私たちに拍手をすることを求めた。

 人は、自分が間違っているから、間違うとは限らない。




 みんなが「正しい」と言うから、間違うことがある。

 みんなが拍手をするから、拍手をしてしまう。




 歴史を遠くから眺めるのは、簡単だ。

 「あの時代は、おかしかった。」と言うのも、簡単だ。



 でも、もし今の自分も同じように、気持ちいい言葉に拍手をしているのだとしたら、歴史は、過去ではなくなる。

 真理は、拍手を求めない。




 だからこそ、拍手の中で消される声を、聞かなければならないーー。







  ー私たちは、空気に流されているのではない。私たち自身が作った空気に、流されているー




 そして、ここで1番怖いのは、真理を語る人が、歓迎されない事です。

 もし、あの時代の教師がーー



  ☆「戦争とは、人を殺す事です。」

  ★「国の為に、人を殺していいのでしょうか?」

  ☆「戦う事は、立派な事なのでしょうか?」



 ーーその教師は「立派な、教師だ。」と、言われたでしょうか?

 寧ろーー



  ★「あの教師は、学校教育にふさわしくない。」

  ☆「子どもに、変な事を教えている。」

  ★「あの学校は、おかしい。」



 ーー等と、言われたのではないでしょうか?





 真理を言ったから、評価されるわけではない。

 皆が聞きたい、気持ちのいい言葉の方が、評価される。


 ここに「空気」の正体が、あります。

 空気は、誰か1人が、作るものではありませんーー。




   ★政治家だけが、作るものではない

   ☆教師だけが、作るものではない

   ★新聞だけが、作るものではない



 ーー私達1人1人がーー



    ★何を、褒め

    ☆何を、嫌い

    ★何を、受け入れるのか



 ーーその1つ1つが、空気を作っていく。





 人は、命令されたから動くとは、限りませんーー。



   ★褒められるから、動く

   ☆皆がやっているから、動く

   ★仲間外れにされたくないから、動く



 ーーその1つ1つは、とても小さなもの。

 


 「よく、言った。」「立派だ。」「偉い。」

 そんな一見すると、何気ない言葉。


 でも、その言葉が、何度も繰り返される事で「何が、正しいのか」が、少しずつ変わっていきます。

 ここでも、真理よりも、気持ちいい言葉が勝つーー。



   ★自分達を、肯定してくれる言葉

   ☆自分達を、正しい側に置いてくれる言葉



 ーーそういう言葉は、とても気持ちがいいーー。



   ★だから、広がる

   ☆だから、褒められる

   ★だから、繰り返される



 ーーそして、繰り返されるうちに、いつの間にか「真理」のように、なっていく。


 
 この続きは、また後程。